Meta、AI部門で約600人を削減 – スーパーインテリジェンス開発へ資源を集中

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Meta は 2025年10月22日、同社の人工知能 (AI) 部門で約 600 人の従業員を削減する計画を発表しました。この動きは、同社の最高 AI 責任者である Alexandr Wang 氏による内部メモで明らかにされ、AI 部門の合理化と効率化を進める大規模な再編の一環と位置づけられています。Wang 氏は、Meta が Scale AI に 143 億ドル(約 2 兆 2308 億円)を投資したことに伴い、2025年6月に入社した人物です。

今回の人員削減は、主に基礎的な AI 研究を担う Fundamental AI Research (FAIR) 部門と、AI 製品およびインフラストラクチャ関連のチームが対象となります。Wang 氏のメモによれば、この決定は意思決定プロセスを迅速化し、個々の従業員の責任と影響力を高めることを目的としています。Meta の AI 部門は一部で「肥大化」していると見なされており、今回の削減は組織の無駄をなくし、リソースを巡る内部競争を緩和する狙いもあるようです。

注目すべきは、新たに設立されたスーパーインテリジェンス開発部門「TBD Lab Unit」(Meta Superintelligence Labs/MSL)が、今回の削減の影響を受けていない点です。この部門は次世代の基盤モデルと汎用人工知能の開発に特化しており、Meta は今後もこのエリートチームへの人材採用を積極的に継続する方針です。これは、同社がリソースをより戦略的な高優先度分野、特にスーパーインテリジェンス開発に集中させようとする明確な意思の表れと言えるでしょう。

Mark Zuckerberg CEO は、AI が Meta の将来にとって核となる技術であると繰り返し強調しており、今回の人員削減にもかかわらず、AI インフラと研究への大規模な投資は継続されます。

影響を受ける従業員には、16 週間の基本退職金に加え、勤続年数 1 年につき 2 週間分の追加手当が支給されるなど、手厚いサポートが提供されます。最終勤務日は 11月21日となり、社内の他部署への応募も奨励されています。

Meta のこの動きは、テクノロジー業界全体で純粋な研究から応用可能な AI イノベーションへと焦点が移りつつある、より広範なトレンドを反映しています。企業が AI 戦略を見直し、より効率的で成果重視の組織体制を模索する中で、Meta は「選択と集中」によって AI 開発競争を勝ち抜こうとしています。