MetaのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は、同社が開発した大規模言語モデル「Llama 3.1」のリリースに合わせて、オープンソース化が社会にもたらすメリットについて詳述した公開書簡を発表しました。
書簡の中で、ザッカーバーグ氏はオープンソース化の利点について次のように説明しています。
まず、開発者にとってのメリットとして、独自のニーズに合わせてモデルを訓練、調整できるため、特定のベンダーに依存せずにプロジェクトを自由に進められる点が挙げられます。また、データを外に出すことなく、効率的かつ低コストでモデルを実行することが可能となります。
次に、Metaにとっては、オープンソースコミュニティのトップレベルの研究者からのフィードバックを受けられることが重要だと述べています。Llama独自のコミュニティとエコシステムを構築することで、オープンソースコミュニティからの知見を受けられるることと、Meta自身のブランド価値が向上し、優秀な人材を確保することが容易になる点をメリットとしてあげています。また、Metaにとって、AIモデルの販売がビジネスモデルではないため、オープンソース化が収益に悪影響を与えることはないとも述べています。
最後に、世界全体にとっても、オープンソース化が進むことで、力が少数の企業に集中せず、技術が公平かつ安全に展開されることが期待できます。オープンソースは技術の透明性が高く、コミュニティからの監視が広範に行われるため、より安全なAIモデルの開発が可能になる、と主張しています。
ただし、この書簡は投資家の疑問には十分に答えていません。投資家は、多額の予算を投入して開発されたLlamaモデルが、Metaのビジネスに具体的にどのように収益をもたらすのかについて疑問を抱いており、この点に関する説明は書簡には含まれていません。
筆者も、オープンソース化の推進がAI業界全体の発展をもたらし、社会的貢献が高いという点には完全に同意します。しかし、Metaが公開企業であるがために、投資家の疑問もよく理解できます。Metaは今後もLlamaモデルの開発に多くの資金を投入すると発表しています。そのため、少なくとも中長期的に、Llamaの開発がどのようにMetaの収益に結びつくのかを示す必要があると考えます。
ザッカーバーグ氏には、投資家の懸念に真摯に向き合い、オープンソース化を進めながらも収益を上げるためのビジネス戦略を示してほしいと切に願います。