日本発 Sakana AI のシステムが世界初、AI が完全自動で生成した論文が学会の査読を通過

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日本の AI スタートアップ「 Sakana AI 」が開発した AI システム「 AI Scientist-v2 」によって完全自動で生成された科学論文が、機械学習分野のトップカンファレンス「 ICLR ( International Conference on Learning Representations )」の 2025 年ワークショップで査読を通過したことが発表されました。これは、人間の介入なしに AI が執筆した科学論文が学術的な査読プロセスをクリアした世界初の事例として注目を集めています。

Sakana AI は 2023 年に元 Google のエンジニアたちによって設立された企業で、独自のアルゴリズムを使った効率的な AI 開発に注力しています。同社が開発した「 AI Scientist-v2 」は、科学研究のプロセスを自動化するシステムで、研究アイデアの立案から仮説設定、実験設計、データ解析、論文執筆までを完全に自律的に行います。

今回採択された論文のタイトルは「 Compositional Regularization: Unexpected Obstacles in Enhancing Neural Network Generalization 」で、「ニューラルネットワークの汎化性能向上」に関する研究です。この論文は査読者から平均 6.33 点( 10 点満点)の評価を受け、提出された全 43 論文中でも上位 45 % に入る評価を獲得しました。特筆すべきは、この論文が人間による編集や修正を一切受けていない点です。

ICLR ワークショップでは、ダブルブラインド形式で査読が行われ、査読者には 43 件の提出論文のうち 3 件が AI 生成であることは伝えられていたものの、具体的にどの論文が AI 生成かは知らされていませんでした。Sakana AI は合計 3 本の AI 生成論文を提出しましたが、採択されたのは 1 本のみでした。

しかし、この成果については議論も生じています。一部の専門家からは、ワークショップの採択率( 60 ~ 70 % )がメインカンファレンス( 20 ~ 30 % )より高いことや、論文に引用ミスなどの問題が含まれていることが指摘されています。また、Sakana AI が複数生成した論文から有望なものを選んで提出した点についても、「完全な自動化とは言えない」との見方もあります。

Sakana AI 自身も、この論文は ICLR 本会議トラック基準には達していないと認めており、学術倫理への配慮から論文を正式公開前に撤回する決定を下しました。同社は、AI Scientist-v2 の詳細を近々公開する予定で、AI による科学研究の透明性や倫理的規範の確立を呼びかけています。