【 資金調達 】Alphabet からスピンアウトの Isomorphic Labs、AI 創薬で 6 億ドル調達

投稿者:

Alphabet(Google の親会社)からスピンアウトした Isomorphic Labs が、AI を活用した薬剤設計エンジンの開発のために 6 億ドル(約 898 億円)の資金を調達したことが発表されました。これは同社にとって初の外部からの資金調達ラウンドであり、2025 年 3 月 31 日に公表されたものです。

この資金調達は OpenAI や Stripe を支援したことで知られる Thrive Capital が主導し、Google Ventures(GV)および既存株主である Alphabet も参加しています。調達された資金は、次世代 AI 薬剤設計エンジンの開発加速と、臨床開発段階へのプログラム推進に活用される予定です。

Isomorphic Labs は 2021 年に Google DeepMind からスピンアウトした企業で、AI を活用した薬剤設計と開発に特化しています。創業者兼 CEO のデミス・ハサビス氏は DeepMind の共同創業者であり、2024 年に AlphaFold(タンパク質構造予測 AI)の開発でノーベル化学賞を受賞した人物です。同社は AlphaFold の技術を基盤に、薬剤発見の効率化を目指しています。

同社が開発中の AI 創薬システムは、がんや免疫疾患など様々な病気に対して、錠剤型や抗体医薬など複数のタイプの薬を設計できる総合的な AI モデルです。このシステムには AlphaFold 3(2024 年 5 月に Google DeepMind と共同で発表)が含まれており、タンパク質だけでなく DNA や RNA、小分子との相互作用を予測する能力を持っています。

Isomorphic Labs の当面の目標は、業界平均で 5 年かかる薬剤発見プロセスを 2 年に短縮すること。ハサビス氏は、これをさらに「数週間または数か月」にまで縮められる可能性を示唆しています。同社は現在、がんや免疫疾患を対象とした内部プロジェクトと、Eli Lilly や Novartis といった大手製薬企業との提携プロジェクトを同時進行で進めています。2024 年 1 月には、これらの企業との契約で 8200 万ドル(約122億7,130万円)の前払い金と最大 29 億ドル(約4,344億2,000万円)の支払い枠(マイルストーンを達成する毎に支払いを受ける)を獲得しています。

Thrive Capital のジョシュア・クシュナー氏は「Isomorphic Labs は薬剤発見・設計の新時代を担う会社」と評価しており、投資家は AI が製薬業界に革命をもたらす可能性に大きな期待を寄せています。AI を活用した薬剤発見は Insilico Medicine(1 億 1000 万ドル調達)や Exscientia などの企業も進めており競争が激化していますが、Isomorphic Labs は AlphaFold の技術力と Alphabet の支援により、業界リーダーとしての地位を確立しつつあります。