Alphabet 傘下の英国企業 Isomorphic Labs は 2026 年 2 月 10 日、統合型計算創薬システム IsoDDE の技術レポートを公開しました。同社は DeepMind 創設者の Demis Hassabis 氏が 2021 年 2 月 24 日に設立した企業で、AI による創薬の実用化を進めています。
IsoDDE は、タンパク質構造予測からリガンド結合、親和性推定、抗体相互作用、ポケット発見まで、複数の予測タスクを統合した計算エンジンです。最も困難な Runs N’ Poses ベンチマークでは、AlphaFold 3 の成功率が 23.3% だったのに対し、IsoDDE は 50% の精度を達成しました。抗体-抗原予測でも AlphaFold 3 の 2.3 倍の性能を発揮しています。
タンパク質の結合親和性予測では、IsoDDE は物理ベースの標準手法を上回る精度を実現しました。FEP+ や OpenFE といった公開ベンチマークで全ての深層学習手法を大きく上回っています。従来手法では X 線結晶構造解析などで得た実験データが必要でしたが、IsoDDE はアミノ酸配列のみから予測できるのが特徴です。また、従来の物理ベースシミュレーションが数時間から数日かかるところを、わずか数秒で予測できます。
同社は 2025 年 3 月に 6 億ドル(約 900 億円)の資金を調達し、Eli Lilly や Novartis と総額約 30 億ドル(約 4,500 億円)規模の研究パートナーシップを結んでいます。IsoDDE はすでに実際の研究プログラムで活用されており、Hassabis CEO は 2025 年 7 月時点で、AI 設計による初の薬剤を 2026 年末までに臨床試験に進めたいと述べています。通常 10 年と数十億ドルを要する薬剤設計を、数ヶ月から数週間に短縮できる可能性があります。
