Humane社、AIデバイス「AiPin」の不評を受けて身売りを検討

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AIスタートアップのHumane Inc.が、ウェアラブルAIデバイス「AiPin」の発売直後の酷評を受けて、7億5000万ドル(約1180億円)から10億ドル(約1570億円)での身売りを検討していると報じられました。

Humane Inc.は、Appleの元幹部であるImran ChaudhriとBethany Bongiorno夫妻によって2018年に設立され、iPhoneに対抗しうるAI搭載デバイスの開発を目指していました。昨年には8億5000万ドル(約1330億円)の評価を受け、OpenAIのCEOであるSam Altman氏など著名な投資家から2億3000万ドル(約360億円)を調達するなど注目を集めていました。

しかし、699ドル(約1万1000円)で発売された「AiPin」は、信頼性や実用性に問題があると批判されました。各種レビューでは「スマートフォンの代替になるとは到底思えない」「月額24ドルの利用料は高すぎる」といった厳しい意見が相次ぎました。

このような状況を受けて、Humane Inc.は身売りを検討するに至ったようです。AIハードウェア市場の競争激化と、同社の製品が主流になりきれなかったことが要因とみられています。

そもそもAI市場は、現時点ではハードウェアよりもソフトウェアの競争に集中すべきフェーズだと感じます。入出力のプラットフォームとしてはスマートフォンがまだ有効であり、AIアシスタントをアプリとして提供する方が、ユーザーにとって利用しやすいのではないでしょうか。

一方で、MetaとRayBanが共同開発したスマートグラスや、Google I/Oで話題になったカメラ付きメガネのようなウェアラブルデバイスに関しては、新たな入力デバイスとして可能性を感じます。ただし、それはあくまでスマートフォンの補助的な役割であり、完全な代替品にはなりえないでしょう。