Google は 2025 年 5 月 6 日、AI モデル「Gemini 2.5 Pro Preview(I/O Edition)」の早期アクセス提供を開始しました。当初は 5 月 20 日・21 日に開催される開発者イベント「Google I/O 2025」での発表予定でしたが、開発者やユーザーからの高い関心とフィードバックを受け、予定を前倒しして提供されることになりました。
このアップデートでは、特にコーディング能力が大幅に強化されています。インタラクティブなウェブアプリ開発や UI 開発において、コード生成・変換・編集、複雑なエージェントワークフローの構築など、従来比で大きく性能が向上しました。AI によるウェブアプリ開発能力を競う「WebDev Arena Leaderboard」では、スコア 1419.95 を記録し、Anthropic の Claude 3.7 Sonnet(1357.10)や OpenAI の GPT-4.1(1261.35)などを大きく上回って首位に立っています。
マルチモーダル推論能力も向上しており、テキストだけでなく画像や動画など多様なデータを扱う性能が強化されました。例えば YouTube 動画からインタラクティブな学習アプリを自動生成するなど、動画理解とコーディングを組み合わせた新しい活用が可能になっています。動画理解の性能を測る VideoMME ベンチマークでも 84.8% という最先端のスコアを記録しました。
開発現場からも高い評価を受けており、Replit や Cognition、Cursor などの開発プラットフォームでは「シニア開発者のような判断力と抽象化能力を持つ」との声も上がっています。また、関数呼び出し時のエラー削減やトリガー率向上など、現場の開発者から寄せられた要望にも応えています。
提供チャネルとしては、開発者向けに Google AI Studio や Vertex AI の Gemini API 経由で利用可能です。一般ユーザーも Gemini アプリ(Canvas 機能など)で体験できます。料金は従来の Gemini 2.5 Pro と同じで据え置かれており、20万 トークンで 1.25 ドル(入力)/10 ドル(出力)と、競合他社よりも安価な設定となっています。
Gemini 2.5 Pro I/O Edition は、現時点で AI コーディング分野の新たなリーダーとなり、ウェブアプリ開発やマルチモーダル推論、動画理解など多方面で業界最高レベルの性能を示しています。Google I/O 2025 でのさらなる発表も期待されており、今後の AI 開発・活用の中心となるモデルといえるでしょう。