Google は、個人開発者向けに「 Gemini Code Assist 」の無料版をリリースしました。このツールは、同社の最先端 AI モデル「 Gemini 2.0 」をベースにしており、2025 年 2 月 25 日に公開プレビューとして発表されました。
注目すべきは、設定されている利用上限が非常に高いという点です。月間 180,000 回ものコード補完が可能となっており、競合の GitHub Copilot の無料プラン(月 2,000 回)と比べて約 90 倍に相当します。また、1 日あたり 240 回のチャットリクエストも利用可能で、同様に GitHub Copilot の無料版(50 回 / 月)と比較して約 5 倍の容量となります。コンテキストウィンドウも 128,000 トークンという大きさを持ち、競合ツールの約 4 倍以上のサイズを誇ります。
また、Visual Studio Code や JetBrains の IDE( PyCharm など)、GitHub、Firebase、Android Studio など開発者が普段使うプラットフォームにシームレスに統合可能で、現在公開されているすべてのプログラミング言語に対応しています。コードの生成から、デバッグ、修正までをサポートし、自然言語でのリクエストにも応答できる機能を備えています。
「 Gemini Code Assist for GitHub 」というコードレビュー専用ツールも同時リリースされました。このツールは GitHub のプルリクエストを自動的に分析し、バグを発見したり、コード改善の提案を行ったりします。Google 個人アカウントをお持ちの方なら、追加料金なしですぐに利用を開始できるのが大きな利点です。
この無料版の提供背景には、若手の開発者や個人開発者を Google のエコシステム内に取り込み、将来的には有料エンタープライズプランへ誘導する戦略があると考えられます。また、約 7 ヶ月前に GitHub Copilot のチームリーダーだったライアン・サルバの採用が実を結んだ結果とも言えるでしょう。
無料版は機能面で一部制限があり、Google Cloud サービスとの統合や、私的コードデータを活用したカスタマイズなどの高度な機能は利用できません。また、初期設定では Google がコード編集やコンテキスト情報を含むデータを収集し、AI モデルの改善に利用することに留意が必要です。ただし、この機能は無効化することも可能です。
AI コーディングツール市場に大きなインパクトを与える可能性を秘めた Google の今回の動きは、Microsoft や OpenAI との AI 競争においても優位性を示す重要な一手と言えるでしょう。
筆者の視点:AI コーディングツールの競争は激化しており、実際のコーディングを行うプロの開発者の間では、現時点で性能面では Anthropic 社の Claude が最も優れているという声が多く聞かれます。今回の Google の新たな動きがプロのコーダーにどのように受け入れられるのか、注目です。