インターネット検索で圧倒的なシェアを誇るGoogleが、AIを活用した検索の有料化を検討していると報じられています。
Financial Times紙によると、Googleは自社のAIである「Gemini」を使った高度な検索機能を、プレミアムの有料サービスとして提供することを検討しているとのこと。従来の無料検索は継続されますが、有料サービスではAIを活用したより高度な機能が利用できるようになるかもしれません。もし実現すれば、Googleにとって、これは同社にとって初めてのコンテンツ有料化の試みになります。
Googleは現在、世界中で10億人以上に利用され、検索市場の80%以上を占める圧倒的な存在感を誇っており、その収益の大半は広告によるものです。近年は、メールサービスやモバイルデバイスの提供など事業の多角化も進めていますが、2023年の収益、約3,056億ドル(約33兆円)のうち約78%は依然として広告売上でした。
Googleは検索機能の有料化について「現時点で発表することはない」としつつも、「これまでと同様、有料サービスの拡充に向けて新たな機能開発を進めていく」とコメントしています。
AIを使った検索をメインのサービスとしているPerplexityは「Taking on Google(Googleに取って代わる)」を合言葉にサービスを展開しています。実際、そのサービスは非常に便利で、筆者は最近、検索はほぼPerplexityを使用し、Googleの使用頻度は極端に減ってしまいました。また、先日OpenAIがChatGPTをログイン不要で使用できるようにサービスの改変を発表しています。
そうした業界の動きの中、検索エンジンの覇者であるGoogleの今回の報道は、AI変革期に既存のビジネスモデルを引きずりながら新しい波にどう対処していったらいいのか、というGoogleの苦悩が見え隠れします。巨大企業になってしまったが故に、既存のビジネスを自ら否定する動きは取りづらいでしょう。ただ、対応が遅れれば遅れるほど、AIをサービスのメインに据えた新興企業に取って代わられるリスクは高くなっていきます。
20年以上の長きにわたってインターネットの世界で圧倒的な強者の立場だったGoogleが、AI時代に適応して生き残ることができるのか、それとも衰退していってしまうのか。今後5年くらいのスパンの中で業界の変化が起きてくると思いますので、興味深くみていきたいと思います。