Googleが新しい量子コンピューティングチップ「Willow」を発表し、量子コンピューティングの分野で画期的な進歩を達成しました。Willowは105個の量子ビット(キュービット)を搭載し、量子エラー補正において30年来の課題を解決することに成功しました。
従来の量子コンピュータでは、キュービットを増やすとエラーも増加してしまう問題がありましたが、Willowはキュービットの配置を工夫することで、逆にキュービット数を増やすごとにエラーを指数関数的に減少させることに成功しました。また、量子情報を保持できる「コヒーレンス時間」が従来の20マイクロ秒から100マイクロ秒へと5倍に向上し、理想の量子状態にどれだけ近いかを測る「ゲート忠実度」指標も約2倍に改善されています。
これにより、Willowの性能は大幅に向上し、その驚異的な計算速度に注目が集まっています。現代の最速のスーパーコンピュータが宇宙誕生以来の時間(138億年)の何倍もの年数(*)をかけても完了しない計算を、わずか5分で完了することができる、とのことです。
Willowの技術は、創薬、核融合エネルギー、バッテリー設計などの実践的な応用が期待されています。カリフォルニア州サンタバーバラの新しい製造施設で生産され、すべてのコンポーネントが最適に統合されています。
この成果により、Alphabet(Google親会社)の株価は5%以上上昇し、2024年の株価は30%以上上昇しています。Googleの量子コンピューティングチームは、Willowを基盤として、さらに大規模で実用的な量子コンピューターの開発を進める計画となっています。
この成果を報告したGoogleスンダー・ピチャイCEOのツイートには、イーロン・マスクが「Wow」と返信し、その後の両者のやり取りで、量子コンピュータをめぐる提携の議論に発展するなど、注目が集まっています。
*10セプティリオン年(10^25年)