Google Deepmindの研究チームが、量子コンピューターの実用化に向けた大きな前進となる「AlphaQubit」という新しい技術を発表しました。
量子コンピューターは、従来のコンピューターでは時間がかかり過ぎて解けないような難しい問題を、短時間で解決できる可能性を秘めていますが、計算の際にエラーが起こりやすいという課題がありました。AlphaQubitは、AI技術を使ってこのエラーを効率的に見つけ、修正することで、量子コンピューターの精度を高めることができる技術です。
AlphaQubitは、Googleが開発したAI技術「Transformer」アーキテクチャを応用し、49個の量子ビットを持つ「Sycamore」というプロセッサを使って学習を行いました。シミュレーションによる学習と実際のプロセッサを使った学習の二段階の学習プロセスを組み合わせることで、複雑なエラーにも対応できるようになっています。
その結果、AlphaQubitは従来の方法に比べて30%ほどエラーを減らすことに成功し、高い性能を示しました。しかし、現状では処理速度が十分ではなく、より高速で大規模な量子コンピューター(超伝導量子プロセッサ)に対応するには課題が残されています。
Googleのチームは、AlphaQubitの処理速度向上と規模の拡大に取り組んでおり、将来的には、新薬の開発や材料設計、人工知能など、様々な分野で画期的な飛躍が期待されています。
AI技術を量子コンピュータの開発に積極的に応用していくことで、その実用化が一歩ずつ進んでいます。通常の電子コンピュータが何年もかかるような計算を数分〜数時間で完了してしまう、という新たなコンピュータが実用化することは、AI革命に続き、新たに人の生活を大きく変える革命的な出来事になります。悪用による不安もありますが、期待して経過を見守りたいと思います。