Google DeepMind が「 AlphaEarth Foundations 」を発表 – AI で地球全体を 10 メートル単位でマッピング

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Google DeepMind は、地球全体を高精度でマッピングできる AI モデル「 AlphaEarth Foundations 」を発表しました。この AI は「仮想衛星」として機能し、衛星画像、レーダー、 3D レーザー測量、気候モデルなど複数のデータソースから得られるペタバイト規模の情報を統合します。地球の陸地と沿岸部を 10 メートル四方の高解像度で分析し、時間の経過とともに起きる変化を詳細に追跡できます。

データ統合と圧縮技術

AlphaEarth Foundations では、衛星やレーダーから得られる膨大なデータを AI が処理しやすい形に圧縮して保存します。従来のシステムと比べて必要な容量を 16 分の 1 に減らすことができ、地球全体の分析にかかるコストを大幅に削減できます。

また、「 Space Time Precision ( STP )」という技術を使うことで、雲で隠れてしまった地域や、衛星が撮影できなかった時期のデータも AI が推測して補完します。これにより、いつでもどこでも一貫した品質の地図を作成することが可能になりました。

精度向上と実用化の進展

精度の面でも大きな進歩が見られます。従来の AI と比べてエラー率を約 24 %削減し、これまで正確な分析が困難だった地域でも高精度な結果を得られるようになりました。衛星観測や現地調査に依存していた地図作成の作業が AI により大幅にスピードアップし、コストも抑えられています。

Google はこの技術で作成したデータセットを「 Satellite Embedding V1 」として Google Earth Engine で無料公開しています。 2017 年以降の世界全体のデータを 10 メートル解像度で提供しており、国連食糧農業機関( FAO )やブラジルの環境監視団体 MapBiomas 、スタンフォード大学をはじめとする 50 以上の研究機関や組織が実際の研究や調査で活用を始めています。

広がる活用事例と将来展望

具体的な活用事例として、ブラジルではアマゾンの森林減少を監視するプロジェクトで使われており、これまでにない詳細さとスピードで変化を追跡できるようになりました。エクアドルでは厚い雲に覆われがちな地域でも農地の状況を正確に把握でき、南極のような観測が困難な場所でも地表の様子を明確に捉えています。

Google DeepMind は、この技術を今後の AI 戦略の柱の一つと考えており、将来的には Gemini のような対話型 AI と組み合わせて、さらに使いやすい地理情報サービスを目指しています。森林保護、農業支援、都市計画、災害対策など、私たちの生活に関わる様々な分野での活用が期待されており、地球環境を守る新しいツールとして大きな注目を集めています。