Black Forest Labs と Krea AI が共同開発した画像生成 AI モデル「 FLUX.1 Krea [dev] 」が、 2025 年 7 月 31 日にオープンソースで公開されました。このモデルの最大の特徴は、従来の AI 画像に特有の「 AI っぽさ」を意図的に取り除き、より自然でリアルな画像生成を可能にしたことです。
これまでの AI 画像生成では、ワックスのような不自然な質感、ぼやけた背景、どこか単調な構図といった「いかにも AI が作った」と分かる特徴が目立っていました。 FLUX.1 Krea は、こうした人工的な見た目を避けて、人間の感覚により近い美しい画像を生成できるよう、開発チームの美的センスを反映させて作られています。
開発は 2 段階のプロセスで行われました。まず、世界中のさまざまな画像やビジュアル構造を幅広く学習させる基礎訓練を実施。その後、人の手を入れて厳選された高品質画像を使った追加学習と、人間の美的な好みを反映した強化学習を組み合わせました。あえて特定の美的嗜好に偏らせることで、より魅力的な見た目の画像を生成するよう調整されています。
技術面では、 12 億個のパラメータを持つ拡散モデルをベースとした AI システム(rectified flow transformer)を採用し、既存のオープンソースモデルを上回る品質を実現しています。また、既存の画像生成ソフトウェアとの互換性があり、開発者や研究者が使い慣れたツールでそのまま利用できます。モデルは Hugging Face で公開されており、高性能な GPU 環境向けの標準版と、性能を抑えた軽量版の両方が用意されています。
開発チームは、従来の AI 画像評価方法にも疑問を投げかけています。多くの評価基準は解像度が低く、美的な判断も単純すぎるため、結果として「 AI っぽい」画像ばかりが生まれがちでした。 FLUX.1 Krea では、人間の直感的な美的感覚を重視したデータで学習を行っています。
安全面では、学習データから不適切なコンテンツを取り除き、外部機関と連携して有害な画像の生成リスクを最小限に抑える対策を講じています。
今回のリリースは非商用利用に限定されたオープンソースとなっており、研究や個人的な創作活動をサポートします。商用での使用には別途ライセンス契約が必要です。クリエイターや開発者からは「 AI らしさのないリアルな画像生成は画期的」との評価を受けており、創作分野に大きなインパクトを与えそうです。
今後は、個人の好みに合わせたより細やかな美的調整機能や、ユーザーごとにカスタマイズされたモデルの開発も視野に入れています。単なる技術的な進歩にとどまらず、「本当に使いたくなる美しさ」を追求している点が、これまでの AI 画像生成モデルとは一線を画しています。