2012年に創業したコラボレーションデザインツールを提供する企業「Figma」 は、年次イベント「Config 2025」で、AI を活用した新製品群を発表しました。今回の発表はFigma史上最大規模の発表となり、デザインツールから製品開発の全工程をカバーする総合プラットフォームへと進化を遂げています。
発表された主な新製品は4つです。まず「Figma Make」は、テキストのプロンプトから実際に稼働するプログラムコードを生成するAIツールです。Anthropicの最新AI「Claude 3.7 Sonnet」を搭載し、プログラマーでなくても簡単にアイデアを形にできます。
「Figma Sites」は、デザイナーが動的なウェブサイトを構築し公開できる機能です。AIを使って「文字を雨のように降らせる」といった指示だけでアニメーションを追加することも可能です。将来的にはブログ記事などを管理するCMS機能も追加される予定です。
「Figma Draw」は、イラストや高度な図形編集のための機能です。テキストの配置、パターンの塗りつぶし、さまざまなブラシ効果など、これまでAdobe Illustratorのような専門ツールで行っていた作業をFigma内で完結できるようになります。
「Figma Buzz」は、マーケティングチーム向けの製品で、ブランドの統一感を保ちながら大量の宣伝素材を作成できます。AI で画像を生成・編集したり、表計算ソフトのデータから一度に何千もの画像を作り出したりできます。
Figma の創業者兼 CEO であるディラン・フィールド氏は「ソフトウェアが急速に発展する現代において、優れたデザインこそが企業や製品の差別化要因になる」と強調しています。
これらの新機能は、Adobe、Canva、WordPress などの競合製品と機能的に重なる部分もありますが、Figma はそれらとの直接競争を否定しています。特に「Figma Sites」は個人向けの Wix や Squarespace などの競合サービスとは異なり、大企業のデザインチーム向けと位置づけています。
Figma はそもそも AI については慎重な姿勢をとっていました。過去に同社が発表した AI 機能「Make Designs」が既存アプリとの類似性を指摘され提供中止になった経緯から、今回の AI 機能は「創造的な作業の代替」ではなく「ワークフローを助けるオプション」として紹介されています。
新たな料金プラン「コンテンツシート」も月額8ドルで登場し、Figma Buzz、Slides、FigJam、Sites CMS などの機能が利用可能になります。新機能は今後数週間かけて順次提供開始され、まずはベータ版として無料提供されますが、正式リリース後は有料プランに組み込まれる予定です。
「Config 2025」にはサンフランシスコで 8,500 人以上が参加し、Figma のグローバルな広がりを示しました。また、ブラジルのポルトガル語対応も発表され、国際展開も進んでいます。