検索スタートアップのExaが新検索エンジン「Websets」を発表 – AIによる意味理解で高精度な検索を実現

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検索スタートアップのExaが、新しい検索エンジン「Websets」を発表し、注目を集めています。Websetsは、従来の検索エンジンとは異なるアプローチで、より正確で関連性の高い検索結果を提供することを目指しています。

Websetsの特徴は、大規模言語モデル(LLM)の埋め込み技術を活用している点にあります。これにより、ウェブページの内容を意味に基づくベクトル(エンベディング)に変換し、単なるキーワードの一致に留まらず、文脈や意味を考慮した検索が可能となります。

これにより、例えば「AIスタートアップでLLMチップに取り組んでいる企業」や「主要大学出身のブログを持つPhD開発者」といった具体的な検索が可能になります。Websetsは約10億ページのウェブコンテンツをエンベディング化しており、特定のデータを必要とする投資家や採用担当者などの「パワーユーザー」にとって有用なツールとなっています。

ただし、現状ではいくつかの制限事項があります。検索結果の表示には数分かかることがあり、1回の検索に大量の計算リソースを使用するため、利用者数が限定されています。また、現在集まっているデータベースの規模もGoogleの1兆ページに比べて約10億ページと小規模です。

しかし、Exaは、エンベディング技術の進化に伴い、検索精度が更に向上すると期待しています。OpenAIのo1モデルと同様のスケーリングパターンがわかっており、1回の検索に計算リソースを使えば使うほど検索結果の質が向上する傾向が見られるとのことです。

Exaの共同創業者でCEOのウィル・ブライク氏は、「Webはデータの集合体ですが、現在は非常に混沌としています。私たちの目標は、Webをデータベースのように感じられるものにすることです」と述べています。

Websetsのアプローチは独自性があり、非常に興味深い視点だと思います。同社が掲げる理論に基づき、膨大なWebサイトを事前にベクトル化し、さらに実行時に十分な計算リソースを確保できれば、AI検索の分野でトップに立つ可能性も十分にあると感じます。ただし、これらのリソースを確保するには、最終的にそれを支える環境を整えるための多額の資金を調達できるかどうかが鍵となります。

多額の資金を調達するには、それに見合う将来的な収益モデルが描けるかが重要です。しかし、現状のように「パワーユーザー」に焦点を当てた方向性では、(市場が小さすぎて)十分な売上を確保するのが難しい可能性があります。この課題をどのように克服するかが、今後の課題となるでしょう。

ExaはYコンビネーターの卒業企業で、サンフランシスコで起業し、今年7月にLightspeed VentureやNVIDIAなどからシリーズAで1700万ドルを調達しています。累計調達額はシード段階と合わせて2200万ドル(約330億円)となっています。

面白いサービスになりそうなので、課題をクリアして正常進化して欲しいと願います。