イーロン・マスクは 2026 年 3 月 21 日、テキサス州オースティンの旧 Seaholm 発電所で、半導体の自社製造プロジェクト「Terafab(テラファブ)」を正式に発表しました。Tesla、xAI、SpaceX が連携して開発を進めるもので、AI 処理に必要なチップを年間 1 テラワット( 1 兆ワット)分以上、自社グループで賄うことを目指しています。
計画では、チップの設計から製造、検査まですべての工程を一つの施設に集約します。場所は Giga Texas(テキサス工場)の敷地内を予定しており、初期施設の建設費は 200 億〜 250 億ドル(約 3 兆円〜 3 兆 7,500 億円)と見込まれています。製造技術は最先端の 2 ナノメートルプロセスを採用する方針です。
チップの生産能力については、立ち上げ時点で月間 10 万枚のウェーハ処理を目指し、将来的には月間 100 万枚への拡大を計画しています。製造するチップは用途別に 2 系統に分かれており、一方は Tesla の電気自動車や人型ロボット「Optimus」向け、もう一方は SpaceX の宇宙空間に設置するデータセンター向けです。生産量の約 80 % は宇宙・軌道上での利用を想定しており、マスク氏が掲げる宇宙文明の実現に向けたインフラの一つと位置づけられています。
2026 年 4 月 7 日には Intel が製造パートナーとして参画することを発表しました。Intel は自社の 18A プロセス( 1.8 ナノメートル級)と呼ばれる最先端の製造技術を提供します。発表当日、Intel の株価は約 3 % 上昇しました。Intel CEO のリップ=ブー・タン氏は「イーロンは自動車や宇宙など複数の産業を変えてきた人物だ。半導体業界にも同じことができると信じている」と語っています。
ただし、業界の見方は慎重です。米調査会社 Bernstein のアナリストは、年間 1 テラワット規模の AI チップ生産を実現するには 4 兆〜 5 兆ドル(約 600 兆〜 750 兆円)の投資が必要と試算しており、バークレイズも Tesla が公表している数字の「少なくとも 10 倍以上の資金が必要」と指摘しています。製造装置の調達でも課題があり、最先端の露光装置を新たに確保するには 2 年以上の待機が生じる可能性があります。過去に Cybertruck や自動運転など複数のプロジェクトで公表スケジュールが大幅に遅れた実績があることも、アナリストが慎重な姿勢を崩さない一因となっています。
当面の焦点は Tesla 独自の第 5 世代 AI チップ「 AI 5 」の動向です。 2026 年中に少量生産、 2027 年に本格量産が見込まれており、Terafab の最初の製品の一つになる予定です。 4 月 22 日に予定されている Tesla の第 1 四半期決算発表では、投資計画や資金調達の具体的な内容が示されるかどうか注目されています。
