米国土安全保障省( DHS )は 2026 年 7 月 24 日、連邦政府の民間機関に対し、中国 AI 企業 DeepSeek の製品をシステムから削除し、新たな調達も禁止するよう命じました。命令は 10 月 20 日に連邦官報で公表されており、発令から公表まで約 3 か月間、非公開のまま運用されていたことになります。
命令に署名したマークウェイン・マリン国土安全保障長官が示した懸念は、主に 3 つです。 DeepSeek のサーバーが中国に置かれており中国当局がアクセスできること、 AI モデル自体に複数のセキュリティ上のリスクがあること、そして iOS アプリに重大な脆弱性が確認されていること。さらに、サービス利用時に収集された個人情報や入力データが中国側に転送され、政府の機密情報が漏れる可能性も指摘されています。
今回の命令で特に注意が必要なのは、「 DeepSeek を使って作られたサードパーティ製品」も削除対象に含まれる点です。 DeepSeek はモデルの重みパラメータを公開しているため、表向きは別の企業のツールでも内部で DeepSeek が使われているケースがあります。各機関は利用中の AI ツールが何をベースに作られているかを改めて確認する必要があり、対応の手間は少なくありません。なお、命令発令から 60 日以内であれば、例外申請を書面で提出することができます。
今回の措置は、これまで各州や個別機関がそれぞれの判断で実施してきた DeepSeek 制限を、連邦政府として統一的に義務化したものです。テキサス州は 2025 年 1 月から州支給端末での利用を禁止しており、各機関もばらばらに対応してきましたが、今回でその取り組みが一本化されました。
背景には、中国 AI 企業による米国 AI モデルへの「技術模倣キャンペーン」を警告した NSA・ FBI・ CISA の合同勧告もあります。米政府が中国製 AI モデルを、かつての通信機器やウイルス対策ソフトと同じようなサプライチェーンリスクとして位置づけ始めたことは、 OpenAI や Anthropic 、 Google にとって競争環境の改善につながる可能性があります。一方、中国外務省は「技術問題の政治化に反対する」として、即時撤回を求めています。
