AI コーディングツールの Cursor を開発する Anysphere は10月29日、独自開発した AI コーディングモデル「Composer」と新版「Cursor 2.0」を発表しました。
Composer は同等の知能レベルを持つモデルと比べて4倍高速だと謳う Mixture-of-Experts(MoE)言語モデルです。毎秒250トークンを生成し、 GPT-5 や Claude Sonnet 4 などの最先端システムの4倍の速度を実現しています。多様な開発環境で強化学習を行い、ソフトウェア開発に特化した性能を身につけました。
同社は数千台の NVIDIA GPU を使って独自の強化学習インフラを構築しました。クラウド上で数十万ものコーディング環境を同時に動かし、ファイル編集、セマンティック検索、ターミナルコマンドといった実際の開発で使われるツールを組み合わせてモデルを学習させています。
Cursor 2.0 では、エージェント中心の新しいインターフェースが特徴です。ひとつのプロンプトで最大8つのエージェントを同時実行でき、 git ワークツリーやリモートマシンを使った複数エージェントの並行作業もサポートします。また、 AI エージェントがブラウザツールを使って自動で作業内容をテストする機能も追加されました。
同社独自のベンチマーク「Cursor Bench」による評価では、中級レベルの最先端システムと同程度の知能を保ちながら、テスト対象の中で最も高い生成速度を記録したとしています。ただし、社内ベンチマークが非公開のため客観性を疑問視する声や、他のテストでは他モデルに劣るという報告も出ています。
AI 業界では速度と専門性が重要な差別化要素となりつつあります。 Cursor は汎用性を追求するのではなく、 IDE (統合開発環境)内でのエージェント型コーディングという特定分野に最適化する道を選びました。
