Cursor、独自コーディングモデル「Composer 2」をリリース 低コストでフロンティアモデルに迫る性能を実現

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AI コーディングツール「Cursor」を開発する Anysphere は 2026 年 3 月 19 日、自社開発のコーディング特化型 AI モデル「Composer 2」を公開しました。2025 年 10 月の初代 Composer、2026 年 2 月の Composer 1.5 に続く第三弾で、わずか 5 か月で 3 世代のモデルを世に出したことになります。

今回のモデルが最も注目される理由は、その価格の安さです。標準版の利用料金は入力 100 万トークンあたり $0.50(約 75 円)、出力 $2.50(約 375 円)で、Anthropic の Claude Opus 4.6(入力 $5.00・出力 $25.00、それぞれ約 750 円・約 3,750 円)や OpenAI の GPT-5(入力 $2.50・出力 $15.00、それぞれ約 375 円・約 2,250 円)と比べて格段に安く抑えられています。前世代の Composer 1.5 からも約 86% のコスト削減を実現しており、有料プランのユーザーは Auto モードで使用する限りクレジットを消費せずに利用できます。

技術面での目玉は「自己要約」と呼ばれる仕組みです。AI が長時間にわたる作業を続ける中で、これまでの作業履歴を自動的に要約・圧縮することで、文脈を保ちながら非常に長い処理を継続できます。発表時のデモでは、一つの問題を 170 回のやり取りを経て解決する様子が披露されました。なお、Composer 2 は中国のオープンソースモデル「Kimi K2.5」をベースに独自の追加学習を施して構築されており、この点が後述する透明性の問題にも関わっています。

性能面では、コーディング能力の評価指標である Terminal-Bench 2.0 で 61.7% を達成し、Claude Opus 4.6 の 58.0% を上回りました。別の評価指標 SWE-bench Multilingual でも前バージョンから大幅に改善しています。ただし、これらはいずれも Cursor 自身が実施した評価に基づく数値であり、OpenAI の GPT-5(75.1%)にはまだ届いていません。

ビジネス上の背景として、Cursor は Anthropic や OpenAI のモデルを自社サービスに組み込みながら、同時に両社と市場で競い合うという難しい立場に置かれています。自社モデルを持つことで、価格設定や機能開発の主導権を取り戻す狙いがあります。一方、ベースモデルとして Kimi K2.5 を使用していたにもかかわらず、当初の発表でこの事実に触れなかったことには批判も集まりました。共同創業者の Aman Sanger 氏は後に「Kimi のベースモデルについて言及しなかったのは失敗だった」と認めています。