CohereのCommand R+がオープンソースLLMのトップに

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カナダ・トロントに本社を置くCohereが先日発表した大規模言語モデル(LLM)「Command R+」が、オープンソースのLLMの中でトップに躍り出ました。LMSYSのリーダーボードでは、OpenAIのGPT-4やAnthropicのClaudeといった商用LLMの一部バージョンも追い抜き、堂々の6位にランクインしています。

Image Source: Capture: LMSYS Chatbot Arena

Command R+は、GPT-4 TurboやMistral-Largeに匹敵する性能を発揮しながら、トークンあたりの処理にかかるコストを大幅に抑えているのが特徴です。多言語対応や外部の情報検索・生成(RAG: Retrieval-Augmented Generation)、外部ツールとの連携などの評価項目でも高いスコアを叩き出しており、10の主要言語に対応しています。

CohereはBtoB向けにAIプラットフォームを提供している会社です。データセキュリティを最優先にしつつ、独自LLMを顧客企業向けにカスタマイズ・実装するソリューションを展開しています。今回、Command R+は、オープンソースの言語モデルが商用モデルに引けを取らない性能を発揮できることを示しました。これにより、顧客企業はデータ保護とコストダウンを両立しながら、自社内で高性能AIを活用できる新たな選択肢を手にしたのです。

実際、Cohereは急成長を遂げるスタートアップとして注目を集めており、2019年の創業以来、既に4億3500万ドル(約670億円)以上の資金調達に成功。2023年6月のシリーズCラウンドでは、時価総額22億ドル(約3370億円)の評価を得ています。NVIDIAやOracle、Salesforce Venturesといった大手企業からの出資も獲得しており、企業向けAIソリューションの開発を加速させています。

今後、CohereのCommand R+がどこまで企業のAI活用を後押しできるのか。オープンソースLLMの発展と、ビジネス領域でのCohereの躍進に期待が高まります。