調査会社 Citrini Research の創業者 James van Geelen 氏が 2026 年 2 月 23 日に公開した仮想シナリオレポート(THE 2028 GLOBAL INTELLIGENCE CRISIS)が、翌 24 日の株式市場に大きな影響を与えました。レポートは 2028 年の視点から AI による経済崩壊を描き、失業率 10.2% への上昇や S&P 500 の 38% 下落を予測する内容でした。
レポート公開後の月曜日、IBM は 13.1% 下落し 25 年ぶりの最大下落を記録しました。マイクロソフト、オラクル、アクセンチュアもそれぞれ 3.21%、4.57%、6.58% 下落しています。Visa は約 4.5%、Mastercard は 6.3%、DoorDash は約 7% 下落し、ダウジョーンズ工業株平均は 800 ポイント以上下落しました。
レポートは Anthropic の Claude Code や OpenAI の Codex のようなエージェント型 AI ツールが人件費削減を可能にし、企業がその削減分でさらに高性能な AI を導入する、という悪循環を生み出すと主張しています。この結果、雇用が失われ続け、消費支出も減少していくというシナリオです。特に DoorDash のような配送サービスでは、高度な AI により誰でも簡単に競合サービスを立ち上げられるようになり、既存企業の収益性が大きく損なわれる可能性を指摘しました。
しかし、大手マーケットメイカーの Citadel Securities は Indeed の求人データを示し、ソフトウェアエンジニアの需要が前年比 11% 増加していることを指摘してレポートの主張に反論しています。またセントルイス連邦準備銀行のデータでも、仕事での生成 AI 利用率は急激に増加は見られず横ばいで推移しており、急速な雇用の置き換えが起きている証拠は見られないとしています。
今回示されたのは、あくまで一調査会社による「仮想シナリオ」にすぎませんでした。しかし、AIが各業界の業績に与える影響への懸念が高まっていた市場環境の中で、その内容は投資家の不安心理を強く刺激し、結果として大きな株価の変動を引き起こしてしまいました。
