Canva が Creative Operating System を発表、世界初のデザイン特化 AI モデルを搭載

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デザインプラットフォーム Canva は10月30日、シドニーでキーノートイベントを開催し、同社史上最大規模となる製品発表を行いました。約3,000名の従業員が参加したこのイベントで、新しい「Creative Operating System」が公開されています。

今回の発表で最も注目すべきは、世界で初めて開発された「 Design Foundation Model(デザイン基盤モデル) 」という AI モデルです。これまでの AI は静的な画像を生成するだけでしたが、この新モデルはデザインの構造やレイヤー、ブランドの一貫性、視覚的なロジックまで理解できます。出力されるのは編集可能なレイヤーとオブジェクトを持つデザインで、ソーシャルメディア投稿からプレゼンテーション、ウェブサイトまで幅広い形式に対応しています。

あわせて発表された Ask @Canva AI アシスタントは、専属のデザインコンサルタントのような役割を果たします。タグ付けするだけで瞬時にフィードバックやデザイン提案、編集を受けられ、レイアウトや構成、フォント、カラー、階層を理解してユーザーをサポートしてくれます。

Visual Suite 2.0 では Video 2.0 エディターが大幅に改良され、新機能の Magic Video を使えばクリップをアップロードして簡単なテキスト指示を与えるだけで、洗練されたソーシャル向け動画が自動生成されます。さらに、コーディングが不要な Email Design 機能や、インタラクティブなフォーム作成機能も新たに追加されました。

マーケティング領域では、統合マーケティングプラットフォーム Canva Grow が登場しました。キャンペーンのアイデア生成から Meta などのソーシャルプラットフォームへの直接投稿、AI を活用したパフォーマンス追跡まで、一連の流れを一つのプラットフォームで完結できます。

特に大きな話題となっているのが、2024年3月に約3.8億ドル(約570億円)で買収したプロ向けデザインツール Affinity の無料化です。すべてのユーザーに永続的に無料で提供されることになり、Canva との統合によって高度なベクター編集から共同作業、公開まで途切れることなく利用できるようになります。

現在の Canva は月間2億6千万人のアクティブユーザーを持ち、年間35億ドル(約5,250億円)の売上を記録しています。企業価値は420億ドル(約6.3兆円)に達し、Fortune 500企業の95%が導入しています。社内では100を超える AI モデルが稼働しており、Magic Studio の AI 機能は累計50億回以上利用されています。

CEO のメラニー・パーキンス氏は「情報時代から想像時代への転換期にある」との見解を示し、創造性がこれまで以上に価値を持つ時代において、テクノロジーは創造性を代替するのではなく、それを拡張する存在になると語っています。