TikTok の運営元である中国の ByteDance が発表した「 Doubao 1.5 Pro 」は、リソース効率に優れたマルチモーダル AI モデルです。従来のモデルと同等の性能を維持しながら、計算リソースを大幅に減らすことができる点が特徴となっています。
このモデルは Sparse Mixture of Experts ( MoE ) アーキテクチャを採用し、稼働するパラメータを従来の 1/7 に抑えながらも、高いパフォーマンスを発揮することができるようになりました。言語理解、数学、コーディング、視覚的推論などの分野で優れた結果を示し、 14 のベンチマークテストのうち半分で最高評価を叩き出しています。
コスト面でも大きな競争力があります。OpenAI の「 o1 」や DeepSeek の「 DeepSeek-R1 」と比較して最大 70 % 安い価格で提供されています。料金体系は、入力トークンが 100 万トークンあたり約 0.022 ドル、出力が約 0.275 ドルとされています。( o1 は 100 万トークンあたり、入力 15 ドル、出力 60 ドル )
また、テキスト、画像、音声など、マルチモーダル対応となっていて、幅広い用途に対応可能です。特に中国市場での需要が高く、予算の限られた企業や開発者・研究者にとって魅力的な選択肢となるでしょう。ByteDance は、米国の輸出規制による高度なチップへのアクセス制限を受けながらも、効率的な AI モデルの開発を進め、グローバル市場での競争力を強化しています。
筆者の視点:DeepSeek に続いて ByteDance も利用料が安価なモデルを発表してきました。ここまでの価格差となると米国のスタートアップも無視することはできず、Perplexity の CEO も CNBC のインタビューの中でこうした中国のモデルの利用を検討していると答えています。