中国のバイドゥ、低コスト高性能の新型AIモデルを発表しDeepSeekに挑戦

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中国の大手テック企業バイドゥ(Baidu)は、2025年4月25日に武漢で開催された「Create 2025」開発者会議で、最新の AI 基盤モデル「ERNIE 4.5 Turbo」と「ERNIE X1 Turbo」を発表しました。これらのモデルは、従来モデルや競合他社製品と比べて大幅にコストを削減しつつ、性能も強化されています。

新モデルの「ERNIE 4.5 Turbo」はテキスト、画像、音声、動画などのマルチモーダル処理に対応し、論理的推論力や記憶力が向上。価格は入力 1,000 トークンあたり 0.004 元(約 0.08 円)、出力 1,000 トークンあたり 0.016 元(約 0.32 円)と、業界最安水準です。OpenAI の GPT-4.5 よりも高性能で、価格はわずか 1% という圧倒的な低コストを実現しています。

また「ERNIE X1 Turbo」は複雑な推論やツール利用に強みを持つ「深層思考」モデルで、高度な検索やコード解釈などに対応。DeepSeek R1 と同等の性能を持ちながら、価格は半額以下(25%)となっています。

バイドゥの創業者兼 CEO である李彦宏(Robin Li)氏は基調講演で、DeepSeek について「遅くて高価」「マルチモーダル非対応」「ハルシネーション(幻覚)率が高い」などと公然と批判。「モデルやチップだけでは価値はなく、実際のアプリケーションが王様だ」と強調し、実用性とコスト削減が AI 普及の鍵だと主張しました。

同社はモデル以外にも、複雑なタスク解決のためのマルチエージェント協働プラットフォーム「Xinxiang」や、業界初のマルチモーダル AI ノートツール「AI Note」なども発表。自社開発チップ「Kunlun P800」を 3 万個搭載したチップクラスタも披露し、国産技術の信頼性を示しました。

バイドゥの新モデルは、性能面で GPT-4.5 や DeepSeek R1/V3 と肩を並べるか上回るとされ、しかも価格は競合の 25〜40% と圧倒的なコストパフォーマンスを実現。李氏の発言や価格戦略は、中国 AI 業界における競争の激化と、AI の民主化への強い意志を示しています。