コンピューターチップ設計企業のArm Holdings Plcが、人工知能(AI)チップ市場への参入を計画しており、2025年には最初の製品を発売する見込みであることが明らかになりました。この動きは、親会社であるソフトバンクグループがグループ全体をAIの巨大企業へと変革させる計画の一環とされています。
Armは2025年春までにAIチップの試作品を完成させ、同年秋に量産を開始する予定です。量産は台湾積体電路製造(TSMC)などのチップメーカーに委託され、初期開発費用は数百億円規模を見込んでいます。量産体制が確立されれば、AIチップ事業は分社化され、ソフトバンク傘下に置かれる可能性もあります。
ソフトバンクの孫正義CEOは、「AI革命」を構想しており、データセンターやロボット事業への拡大を目指しています。このビジョンには、AI、半導体、ロボット技術を融合させ、さまざまな業界のイノベーションを促進することが含まれています。AIチップは、大量のデータを処理できるため、このプロジェクトの中核となります。
ソフトバンクは、2026年までに米国、欧州、アジア、中東でArmチップを搭載したデータセンターを建設する予定です。さらに、風力発電や太陽光発電所など発電事業にも進出し、次世代の核融合技術を用いてデータセンターに電力を供給することも視野に入れています。
AIチップ市場は、2023年の300億ドル(約4.7兆円)から2029年には1000億ドル(約15.6兆円)、2032年には2000億ドル(約31.2兆円)を超えると予想されており、ソフトバンクはこの成長機会を捉えようとしています。ソフトバンクの投資事業は回復しており、大規模な投資を行う財務基盤があります。総投資額は10兆円に達する見込みです。
ただし、Armが既存顧客にAIチップの設計を提供するかどうか、また、顧客がArmのAIチップ市場参入にどのように反応するかは不明です。大規模な投資にはリスクが伴い、孫CEOの経営手腕が再び試されることになります。