米Bloombergが報じたところによると、Appleは、OpenAIとの画期的な契約の一環として、OpenAIの取締役会にオブザーバーとして参加することが明らかになりました。AppleのApp Store責任者であり、元マーケティング責任者であるPhil Schiller氏がオブザーバーに選ばれました。オブザーバーは議決権やその他の取締役権限を持ちませんが、企業の意思決定過程を把握することができます。
この動きは、Appleが6月にChatGPTをiPhone、iPad、Macで提供すると発表したことを受けてのものです。
AppleとOpenAIのパートナーシップは、少なくとも現時点では金銭的なものではありません。OpenAIは数億人の潜在ユーザーにアクセスでき、Appleは多くの消費者が求めているチャットボット機能を獲得できるという両者のメリットが合致したことから現在はAppleがOpenAIから無償で機能の提供を受ける形になっています。
Appleは、またGoogleやAnthropicとも協議を続けていることがわかっています。また、中国のデバイスでは米国のAIサービスが使えないため、中国国内のユーザーのためにBaiduやAlibabaと提携の可能性について議論しています。
Apple Intelligenceは、まずアメリカ英語でローンチされ、その後国際的に展開される予定です。Appleの幹部が他社の取締役を務めることはよくありますが、注目度の高いパートナーの取締役会に参加することは稀です。過去には中国のUberライバルであるDiDi Global Inc.に10億ドルを投資した後、一時的に取締役会に参加したことがあります。
Appleに取ってOpenAIとの協力関係は、同社のAI戦略にとって重要な一歩です。ただ、OpenAIは同時に多くの内部紛争や訴訟を抱える企業でもあるため、今回の取締役会へのオブザーバー参加が決まったのではないかと思われます。一方で、MicrosoftもOpenAIの取締役会にオブザーバー参加しています。競合する両社が出席することで、OpenAIに取って取締役会の運営は少し難しいものとなるかもしれません。今後の開発スピードにかげりが出てこないことを願います。