Apple と Anthropic が提携、AI を活用した「Vibe-Coding」プラットフォームの開発に向けて

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Apple が AI スタートアップの Anthropic 社と提携し、AI を活用した新しい「バイブコーディング(vibe-coding)」プラットフォームを開発中であると米 Bloomberg が報じました。このプラットフォームは、Apple の統合開発環境(IDE)である Xcode 内で実装され、AI がコードの作成、編集、テストを自動で行うことを目指しています。

この提携は、Apple が AI 分野での取り組みを強化し、開発者の生産性向上を図る動きの一環と見られています。新しいプラットフォームには、Anthropic 社の「Claude Sonnet」が統合される予定で、このモデルは競合のモデルと比べても、高度な推論能力やデバッグスキルを持ち、自然言語による指示に基づいてコードを生成・編集する能力が高いとされています。

「Vibe-Coding(バイブコーディング)」とは、プログラマーが具体的なコードを一行一行記述する代わりに、AI に対して実現したいことの概要や「雰囲気(vibe)」を伝えることで、AI が適切なコードを自動生成する開発手法です。例えば、「ユーザーがログインできる画面を作って」といった抽象的な要求からコードを生み出すことを目指しています。これにより、従来の開発プロセスが根本的に変わる可能性があります。

報道によると、この新しいプラットフォームはまず Apple 社内で展開される計画で、一般のプログラマーに公開されるかどうかはまだ決定されていません。社内でのテストが成功すれば、6 月 9 日に開始される WWDC 2025 でサードパーティ開発者に公開される可能性もあります。

Apple は過去にも「Swift Assist」という AI コーディングツールを発表しましたが、内部テストで「ハルシネーション(誤ったコード生成)」や開発速度の低下が問題となり、2024 年に予定されていたリリースは実現しませんでした。今回の Anthropic 社との提携は、こうした過去の経験を踏まえ、外部の専門知識を活用する戦略へのシフトを示しています。

AI を活用したコーディング支援ツール市場は競争が激化しており、Microsoft 社はすでに GitHub Copilot に OpenAI 社の GPT 技術を統合しています。また、OpenAI 社が AI コーディングアシスタントのスタートアップである Windsurf 社を約 30 億ドル(約 4500 億円)で買収交渉中であるとの報道もありました。

競争が激化しているコーディング支援ツール市場に、Apple と Anthropic が乗り出してきました。