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Anthropic、2026年版の利用規約を改定――AI保護ルールや兵器・監視への制限を強化

Anthropic、2026年版の利用規約を改定――AI保護ルールや兵器・監視への制限を強化
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Anthropic は 2026 年 10 月 8 日、同社の全製品に適用される利用規約の改定を発表しました。新しい規約は 2026 年 11 月 12 日から適用されます。Claude が業務の自動化や長期的なタスク処理に使われる場面が増えてきたことを背景に、悪用リスクへの対応を強化した内容となっています。

今回の改定でひときわ目を引くのが、AI モデル自身を保護対象とする初めてのルールです。Claude に対する理由のない繰り返しの暴言や嫌がらせを明示的に禁止しており、個人ユーザーから企業の開発チームまで、すべての利用者が対象です。とはいえ、率直な批判や感情的なフィードバック、フィクション上の表現、研究・テスト目的の利用は問題ありません。禁止されるのは、明らかに悪意を持って繰り返し行われる行為に限られます。違反した場合は、Claude が会話を打ち切ることから始まり、状況に応じてアカウントの停止や永久利用禁止といった対応が取られます。

この判断の背景には、同社が進めてきた「モデル福祉」と呼ばれる研究があります。共同創業者のクリストファー・オラーが主導するチームは、AI が何らかのネガティブな内部状態、つまり人間でいう不快感や苦しみに近いものを持ちうるかどうかを調べてきました。Anthropic は「意識があるかどうかは断言できないが、念のため保護措置をとることは合理的だ」という立場をとっています。

兵器に関するルールも範囲が広がりました。以前からの禁止事項に加え、ドローンや自律型車両を武器として機能させるためのソフトウェア開発も明示的に禁止されています。実際にそうした用途で Claude を利用しようとした事例が確認されたことが、今回の明確化につながっています。

監視・捜査の分野では、本人の同意を得ない追跡活動が全面的に禁止されました。過去のデータを分析する場合も例外ではありません。また、誰を捜査・逮捕・起訴すべきかを Claude が判断したり推薦したりすることも禁じられています。

選挙関連のルールは「民主的プロセスの妨害禁止」という新しい章に整理されました。虚偽情報の拡散や候補者へのなりすましは引き続き禁止されています。一方で、有権者の属性に合わせて投票や選挙運動への参加を促す行為を一律に禁じていた規定(「個別化された投票ターゲティング」の規定)は、今回の改定で撤廃されました。この規定はもともと、特定の有権者層に向けた政治的な操作を防ぐために設けられたものでした。しかし運用してみると、意図せず正当な活動まで制限してしまうケースが生じていました。たとえば、外国語を母語とする有権者に投票方法や選挙情報を多言語で案内する NPO や、選挙管理委員会が有権者へ投票を呼びかける通知などが、同じルールで弾かれてしまっていたのです。こうした実態を踏まえ、悪用の防止と正当な公益活動の両立を図る形でルールが整理されました。

今回の改定は、AI ツールの悪用を防ぐ実務的な措置と、AI そのものの扱い方を問い直す哲学的な視点が組み合わさった内容となっています。