Anthropic の売上が 5 カ月で 3 倍に急成長

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AI スタートアップの Anthropic (アンソロピック)が、年換算売上で 30 億ドル(約 4,300 億円)に到達したと米 Reuters が報じています。これは 2024 年 12 月時点の約 10 億ドル(約 1,400 億円)から、わずか 5 カ月で 3 倍に急増したことになります。

この急成長の主な要因は、企業向けのコード生成機能に対する強い需要です。 Anthropic の売上の約 67% は、API を活用した企業向けコーディングアプリケーションによるもので、特に 2024 年第 4 四半期には、コーディング関連収益が 1000% という驚異的な伸びを記録しました。同社の Claude モデルシリーズは、プログラミング支援に強みを持ち、企業の業務効率化や生産性向上のニーズを捉えています。

OpenAI が ChatGPT を通じた消費者向けサブスクリプション( B2C )に依存しているのに対し、 Anthropic は企業向け B2B 市場に注力しています。 Claude の推論能力とコード生成機能は、Amazon Web Services( AWS )や Google とのクラウド連携を通じて企業に提供されており、この戦略が功を奏した形です。 OpenAI は 2025 年末に年間売上 120 億ドル(約 1 兆 7,200 億円)超を見込んでいますが、Anthropic は 40 億ドル(約 5700 億円)程度と言われています。売上高こそ差をつけられているものの Anthropic は企業向け AI 市場で独自のポジションを築いています。

同社は 2025 年 3 月に 35 億ドル(約 5,000 億円)の資金調達を行い、企業価値は 615 億ドル(約 8 兆 8,100 億円)に達しました。さらに 5 月には 25 億ドル(約 3,600 億円)のクレジットラインを確保し、計算リソースの強化を進めています。 Google の親会社 Alphabet や Amazon から多額の投資を受けており、この潤沢な資金力が成長を支えています。

Anthropic は最近、初の「 Code with Claude 」開発者会議で Claude 4 Opus と Claude 4 Sonnet を発表しました。これらは「拡張思考」機能を備え、 OpenAI の GPT-4.1 や Google の Gemini 2.5 Pro をコーディングタスクで上回るとされています。企業が AI を活用したソフトウェア開発ツールの導入を加速する中、 Claude は開発者と非開発者の両方にアプリケーション構築を可能にする使いやすさで差別化を図っています。

1 四半期でこれだけの売上成長を記録した SaaS 企業は他に例がなく、業界でも大きな注目を集めています。生成 AI 市場は 2032 年までに 1.3 兆ドル(約 186 兆円)に達すると予測されており、企業の AI 導入が本格化する中で、 Anthropic の企業向け戦略とコード生成技術への注力が成功要因となっています。