Anthropic は 2026 年 10 月 27 日、自社の AI「 Claude 」を医薬品開発に活用する取り組みについて、6 つの外部組織との初期段階の成果を発表しました。同社は今年 4 月に Coefficient Bio を買収しており、今回の Mithril Medicine 買収と合わせると、AI を使った創薬を事業の柱に据える姿勢がより明確になっています。
Mithril Medicine はマサチューセッツ州ケンブリッジの小さなスタートアップで、正社員は創業者の Cody Tranbarger 氏ただ 1 人です。 Tranbarger 氏は Harvard 大学で MS/MBA を取得後、バイオテック企業の Prime Medicine やバイオ特化ファンドの Casdin Capital を経て同社を立ち上げました。 Claude を活用して 11 の外部研究所をリモートで管理し、実験の設計から物流まで一手に担っていたといいます。買収は 2026 年 7 月に完了していましたが、今回初めて公表されました。
同社が取り組んでいたのは、「LAMA2 関連先天性筋ジストロフィー」という難治性の希少疾患の治療薬開発です。構想からわずか 18 ヶ月未満でマウスでの有効性確認まで到達し、投与を受けたマウスは未治療のマウスと比べておよそ 2 倍の握力を示しました。ただし、結果はまだ査読前で試験設計にも改善の余地があるため、今後の追試が求められます。
他の 6 社のパートナーとの取り組みでも、目を引く成果が出ています。 Generate Biomedicines ではがん治療向け CAR-T 細胞療法の設計において、従来より約 70 % 小さい設計で受容体の産生量が約 10 倍に向上しました。 Enveda では 1,061 ページの製造記録レビューを Claude が引き受け、人間が見つけた 11 件の問題をすべて検出した上でさらに 7 件を追加発見し、作業時間を 25 時間超から 3 時間未満に短縮しています。大手製薬の Bristol Myers Squibb も治験計画の評価に Claude を取り入れており、 2027 年には連携の範囲を広げる計画です。
Tranbarger 氏によると、 Claude を活用すれば新しい創薬プログラムの構想を実験計画に落とし込む作業が 2 〜 3 日で完了できるといいます。現時点の成果はすべて前臨床段階であり、各社の自己報告に基づく点は割り引いて見る必要がありますが、 Anthropic は今後スケールを大幅に拡大し、臨床試験段階へも Claude の関与を広げていく方針を示しています。
