Anthropic が 2025 年 4 月 2 日、高等教育機関向けに特化した AI アシスタント「 Claude for Education 」を発表しました。この新しいバージョンは、単に答えを提供するのではなく、学生のクリティカルシンキング(批判的思考力)を育むことを目的としています。
注目すべき機能のひとつが「 Learning Mode(学習モード)」です。このモードでは、ソクラテス式の問答法を用いて「この問題にはどうアプローチしますか?」といった問いかけを行い、学生に自ら考える力を促します。さらに、理解度を確認するための質問を提示したり、特定の課題の背後にある基本原理を強調したりするほか、研究論文のテンプレートも提供されます。
Anthropic は主要な大学との提携も発表しました。ノースイースタン大学は Anthropic の最初の「大学デザインパートナー」として、 13 のグローバルキャンパスにわたる約 5 万人の学生、教職員、スタッフに Claude へのアクセスを提供します。また、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス( LSE )とシャンプレイン大学も導入を決定しています。
教育機関への円滑な導入を支援するため、高等教育向けの高速ネットワークや専用クラウドサービスを提供する非営利コンソーシアム「 Internet2 」との提携も発表されました。また、学習管理システム「 Canvas 」を開発する Instructure との連携により、既存の教育システムとの統合も進められます。
学生参加型プログラムとして、キャンパス内で AI 教育活動を推進する「 Claude Campus Ambassadors 」と、 Claude を活用した独自プロジェクトを開発する学生に無償の API クレジットを提供する「 Claude for Student Builders 」も立ち上げられました。
この発表は、 OpenAI が 2024 年 5 月に「 ChatGPT Edu 」をリリースしたことへの対抗策とも見られています。 Anthropic の「 Learning Mode 」は、単なる便利さではなく、教育の本質である「学び」のプロセスを重視する点で差別化を図っています。
2022 年の ChatGPT 登場以来、大学では AI の利用を巡って議論が続いていますが、「 Claude for Education 」は AI を教育に積極的に取り入れつつ、学びの質を高める新たなアプローチを提案しています。現在のところ、このサービスは .edu メールを持つ Pro ユーザーや提携大学で利用可能となっています。