Anthropicは、同社のAIアシスタント Claudeに搭載されている「記憶機能」を、ProおよびMaxプランの全有料ユーザーに拡大したことを発表しました。これにより、Claudeは過去の会話内容を記憶し、ユーザーはプロジェクトごとに文脈を維持した対話が可能になります。
この機能は、Maxユーザーには2025年10月23日から、Proユーザーには今後数日中に提供が開始される予定です。以前はTeamおよびEnterpriseプランに限定されていましたが、今回の拡張により、個人ユーザーもその恩恵を受けられるようになります。記憶機能によって、ユーザーはセッションごとに背景情報を再説明する必要がなくなり、より効率的でパーソナルなAI体験が実現します。
ユーザーのプライバシーとコントロールも重視されています。この機能はオプトイン制であり、ユーザーは設定からいつでも有効化・無効化が可能です。また、Claudeが何を記憶しているかを具体的に確認し、内容を編集・削除する権限もユーザーに与えられています。さらに、記憶を残さずに会話できる「シークレットチャット」モードも提供されます。
この機能の特筆すべき点は、プロジェクトごとに記憶を分離できることです。これにより、例えば仕事の製品ロードマップに関する会話と、個人的な趣味に関する会話の文脈が混ざることを防ぎ、情報を整理しやすくなります。
今回の機能拡張により、Claudeは同様の記憶機能を持つChatGPTやGoogleのGeminiといった競合サービスと肩を並べることになります。さらに、他社AIから記憶の概要をインポートする機能も備えており、AIツール間の移行を検討するユーザーにとっての利便性を高めています。
Anthropicは、この機能が安全に利用できるよう広範なテストを実施したと述べています。記憶機能は、Web検索や各種アプリケーション連携といった最近の一連のアップデートの一部であり、Claudeが単なるチャットボットから、ユーザーに寄り添う「思考パートナー」へと進化していることを示す動きと言えるでしょう。(769文字)
