Anthropic は 2025 年 9 月 9 日に、 AI チャットプラットフォーム「 Claude 」において、 Excel シートや Word ドキュメント、 PowerPoint スライド、 PDF ファイルの作成・編集機能を直接チャット上で利用できる新しい生産性機能を公開しました。この機能により、従来 OpenAI の ChatGPT が先行していた職場向け AI 作業環境において、 Anthropic も本格的に競争に参入したことになります。
新機能では、ユーザーが自然言語で指示を出すだけで、 Claude がバックグラウンドでコードを実行し、機能的なファイルを生成します。例えば、「月次経費を追跡する Excel スプレッドシートを作成して」や「この PDF レポートを PowerPoint スライドに変換して」といったプロンプトで、すぐにダウンロード可能なファイルが得られます。さらに、生データを渡して分析とグラフ、洞察をまとめた Excel ファイルの自動生成や、 PDF レポートからスライドへの変換、メモから体裁の整ったドキュメント作成も可能になります。
利用方法は、設定画面から「 Upgraded file creation and analysis 」を有効化し、必要なファイルのアップロードや要望をチャットで伝えるだけです。出力されたファイルは、ダウンロードまたは Google Drive への直接保存が可能です。現在は「 Max 」「 Team 」「 Enterprise 」プランでプレビュー公開されており、 Pro ユーザーには数週間以内にアクセス可能になる予定です。
この発表の直後、 Microsoft が Anthropic の Claude モデルを Office 365 に統合することも報じられました。 Claude は Excel の自動化や PowerPoint の生成で優位性が高いと評価されており、 Microsoft の OpenAI 依存を減らす多角化戦略の一環として位置づけられています。
Anthropic はこのアップデートを「 Claude をアドバイザーから実際のプロジェクトコラボレーターへ進化させるもの」と説明しています。ユーザーは企画・戦略だけに集中し、レポート作成やデータ整理といった煩雑な作業を AI に完全に任せられるようになります。今後、 OpenAI と Anthropic の職場向け AI ツール分野での競争が激化すると考えられます。