Anthropic、Claude にデスクトップ直接操作機能を追加——Dispatch でスマホからタスクを遠隔実行

投稿者:

Anthropic は 2026 年 3 月 23 日、AI アシスタント「Claude」が Mac を人間と同じように操作できる新機能「Computer use」を公開しました。アプリの起動やクリック操作、ブラウザでの検索、スプレッドシートへのデータ入力など、これまで人間が手作業でこなしていたデスクトップ上の業務を Claude が肩代わりします。利用できるのは Claude Cowork と Claude Code(macOS 版)のユーザーで、月額 20 ドル(約 3,000 円)の Claude Pro プランと、月額 100 ドル(約 15,000 円)の Claude Max プランが対象です。現在は macOS のみの提供となっています。

今回の発表と同時に「Dispatch」という機能も登場しました。外出先からスマートフォンで Claude に指示を出し、帰社後に PC で成果物を受け取れる仕組みです。たとえば移動中に「このデータをまとめてレポートにしておいて」と依頼すれば、Claude がオフィスの Mac 上で作業を進めてくれます。処理はすべて手元の Mac 内で完結するため、データが外部サーバーに送信される心配もありません。

Claude の動作には段階的な制御が設けられており、まず Slack や Google Calendar などの公式連携機能を通じて操作を試みます。それが使えない場合は Chrome でウェブを操作し、どちらも利用できない場合に限り、ユーザーの許可を得てから画面の直接操作に切り替わります。自動化ツールとして実用的でありながら、暴走しにくい設計になっている点は評価できます。

この機能の実現を後押ししたのが、2026 年 2 月 25 日に完了した Seattle の AI スタートアップ「Vercept」の買収です。Vercept はシードラウンドで 1,600 万ドル(約 24 億円)を調達していたチームで、Anthropic に合流してからわずか 4 週間で今回のリリースにこぎつけました。AI が PC を操作する能力を評価する OSWorld ベンチマークでは、Claude のスコアが 2024 年末時点の 15% 未満から 72.5% へと大きく伸びており、OpenAI の GPT-5.2 が記録した 38.2% を引き離しています。

セキュリティ面では、アプリごとのアクセス制限や不正な指示の検知といった対策が組み込まれています。ただし Anthropic 自身が、医療・金融・個人情報を扱うアプリでの利用は推奨しないと明言しており、「まだ発展途上の機能」と率直に認めている点は好感が持てます。