2024年8月30日、AmazonはAIロボティクス企業Covariantと新たなライセンス契約を締結しました。この契約では、AmazonはCovariantのAIロボット基盤モデルを非独占的に利用できる権利に一定のライセンス料を支払いますが、その具体的な金額は公表されていません。
しかし、今回の契約の核心はライセンス料ではなく、人材獲得にあります。契約の一環として、Covariantの創業者3名と従業員の約25%(約40人)がAmazonに移籍することになります。
Covariantは2017年に設立されたカリフォルニアのスタートアップで、倉庫自動化のためのAIロボットシステムを開発しています。彼らの主力製品「Covariant Brain」は、ピッキングや仕分けなどの作業を行うロボットに搭載されるAIプラットフォームです。
Amazonは、Covariantの創業者と従業員を獲得することで、倉庫自動化の強化、AI人材の獲得、新技術へのアクセスといったメリットを得ることが期待できます。一方、Covariantは独立企業として存続し、新たなリーダーシップの下で事業を継続する予定です。
この取引は、最近のトレンドで、大手テック企業がAIスタートアップから人材と技術を獲得する「acqui-hire」と呼ばれる手法の進化形と言えるでしょう。マイクロソフトやGoogleも同様の戦略を採用しており、完全な買収を行わずに買収に近い効果を得ています。この手法により、企業は優秀なAI人材を効率的に獲得し、最新のAI技術にアクセスしつつ、独占禁止法規制リスクを最小限に抑えることができます。
ただし、この手法が規制の観点から問題ないかどうかについては、米国連邦取引委員会(FTC)の調査も入っており、今後の議論の対象となる可能性があります。