Amazon が OpenAI に 100 億ドル投資検討、AI チップ市場の勢力図変化へ

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Amazon が OpenAI に少なくとも 100 億ドル(約 1 兆 5000 億円)の投資を検討していることが 12 月 17 日に報じられました。この投資により OpenAI の企業価値は 5000 億ドル(約 75 兆円)を超えることになりそうです。

この投資契約には業界にとって重要な条件が含まれています。OpenAI は Amazon の独自 AI チップ「Trainium」の使用が義務付けられる見込みです。Trainium3 チップは 3nm プロセスで製造され、前世代比 4.4 倍の性能向上と 4 倍のエネルギー効率改善を実現しています。OpenAI はすでに AWS から 7 年間で 380 億ドル(約 5 兆 7000 億円)相当のサーバーレンタル契約を締結済みです。

この動きは AI ハードウェア市場に大きな影響を与える可能性があります。現在 NVIDIA が独占的地位を占める AI チップ市場において、Amazon の参入により競争が激化することが予想されます。OpenAI は NVIDIA 標準の CUDA プラットフォームから Amazon の Neuron SDK への移行が必要となります。従来NVIDIAの優位性は開発ソフトウェアが圧倒的に優位でそれによる囲い込みにあるとされてきましたが、徐々にその状況に変化が現れています。

投資交渉が実現した背景には、OpenAI の企業再編があります。10 月に営利組織への再編を完了し、Microsoft との排他的関係を見直したことで、他社との契約が可能になりました。現在 Microsoft は OpenAI Group PBC の約 27%の株式を保有していますが、互いにお互いを縛る契約は見直しされています。

専門家はNVIDIAに引き続き市場で加速する「循環取引」への懸念も指摘しています。ハードウェア製造業者が AI 企業に投資し、その企業が製品を購入する構造が AI バブルのリスクを高める可能性があります。一方で Morningstar のアナリストは「AI の需要は実在し活況」のため現時点では深刻な懸念はないと評価しています。

交渉は初期段階にあり、条件は流動的で最終合意に至らない可能性もあります。しかし、この投資が実現すれば AI 業界のサプライチェーン再編とハードウェア競争の新たな段階を示すことになります。