Amazon は10月28日、コーポレート部門で 14,000 人のリストラを実施すると発表しました。これは同社の約35万人の企業従業員の約4%に相当し、2023年以降最大規模のリストラとなります。
影響を受ける従業員は同日に通知を受け、大部分の労働者には社内での新職種探しのため90日間の期間が与えられます。新職種が見つからない場合は、退職金、再就職支援サービス、医療保険給付が提供される予定です。Amazon は追加リストラの可能性も示唆しており、「まだ終わっていない」と表明しています。
今回のリストラの背景には、AI 技術による業務効率化があります。CEO の Andy Jassy 氏は6月17日の従業員向けメモで、「一部の現在の仕事に必要な人員は減り、他の種類の仕事に必要な人員は増える」と予告していました。同氏は「生成 AI とエージェントの展開により仕事のやり方が変わる」と述べており、同社を「世界最大のスタートアップ」のように運営し、AI 変革に迅速適応できる俊敏性を維持する構想を掲げています。
Amazon 上級副社長の Beth Galetti 氏は、「この世代の AI はインターネット以来最も変革的な技術で、企業は以前より遥かに速いイノベーションを可能にしている」と説明しています。社内では人事ワークフロー、コード生成、調達、顧客サービス決定木などで AI ツールをテスト中で、以前アナリスト、コーディネーター、中間管理職が行っていた多くの機能が自動化可能になっているとのことです。
一方で Amazon は AI とクラウドインフラに大規模投資を行っており、今年約 1,180 億ドル(約17兆7,000億円)の設備投資を予定しています。6月4日にはノースカロライナ州に 100 億ドル(約1兆5,000億円)のデータセンターインフラ投資を発表し、500人以上の高技能職を創出するとしています。
専門家は「人的資本から技術的インフラへの転換点」と分析しており、他の技術大手も類似の動きを見せています。Amazon は企業従業員をリストラする一方、今月ホリデーシーズン向けに倉庫・輸送業務で 25万人の季節労働者採用を発表しており、業務の性質による明確な使い分けが進んでいます。
