最新の研究で、主要な AI モデルが金融専門職の資格である Chartered Financial Analyst(CFA)試験の全 3 レベルに合格したことがわかりました。特に Google の Gemini 3.0 Pro はレベル 1 で 97.6% という高いスコアを出し、AI が金融分野で高度な知識を持つことを示しています。
この研究は、コロンビア大学などの研究者チームが行ったものです。Gemini 3.0 Pro や GPT-5 を含む 6 つの主要 AI モデルを対象に、レベル 1 から 3 までの合計 980 問からなる模擬試験を実施しました。その結果、すべてのモデルが全レベルで合格基準を上回りました。レベル 1(基礎知識)では Gemini 3.0 Pro が 97.6% で最も優れた成績を収め、レベル 2(応用・分析)では GPT-5 が 94.3% でトップでした。最も複雑とされるレベル 3(ポートフォリオ構築)の記述式問題でも、Gemini 3.0 Pro が 92.0% という高い正答率を記録しました。わずか 2 年前には旧世代のモデルが同じ試験に苦戦していたことを考えると、その進歩は明らかです。
一方で、この結果は AI が完璧であることを意味するわけではありません。特に倫理に関する問題では、最も性能の高いモデルでも 17% から 21% の誤答率を示しました。これは、人間のような微妙な倫理的判断には依然として課題が残ることを示唆しています。また、AI のトレーニングデータに試験問題そのものが含まれていた可能性も指摘されており、結果を解釈する際には慎重さが求められます。
今回の研究結果は、AI が金融専門家を代替するのではなく、その業務を支援し、能力を補完する可能性を示唆しています。AI は膨大なデータ分析や定型業務を効率化する上で大きな力を発揮するでしょう。これにより、人間の専門家は、より戦略的な思考や複雑な問題解決、顧客との信頼関係構築といった、人間ならではのスキルが求められる領域に集中できるようになります。今後の金融専門家には、AI を有効なツールとして使いこなし、人間の判断力と組み合わせることで、これまで以上の付加価値を生み出す能力が期待されることになるでしょう。
