調査報告:AI 利用が倍増も、ニュース分野への信頼は依然低調(オックスフォード大学)

投稿者:

オックスフォード大学の Reuters Institute for the Study of Journalism が 2025 年 10 月 7 日に発表した報告書によると、生成 AI の利用が過去 1 年で大幅に増加した一方、ニュース分野での AI 活用に対する懸念は根強く残っていることが明らかになりました。

この調査は、アルゼンチン、デンマーク、フランス、日本、イギリス、アメリカの 6 カ国で各約 2,000 人を対象に実施されたものです。目的は、生成AIが人々の日常生活や仕事、特にニュースやジャーナリズム分野でどのように使われているか、その影響について人々がどう認識・評価しているかを調査・分析することにあります。

今回の結果から、週 1 回以上生成 AI を使う人の割合は 18% から 34% へとほぼ倍増し、一度でも使ったことがある人は 61% に達しました。特に ChatGPT の認知度は高く、デンマークでは 79% 、アルゼンチンでは 68% に上ります。

主な利用目的は情報検索で、週次利用率が 11% から 24% へと倍増しました。一方、ニュース閲覧のために使う人は 6% にとどまり、この分野での活用はまだ限定的です。年齢による差も顕著で、 18 〜 24 歳の週次使用率は 59% に達する一方、 55 歳以上では 20% にとどまっています。

ニュース分野での AI 活用に対する信頼は依然として低く、完全に AI が生成したニュースに安心感を持つ人はわずか 12% でした。人間主導で AI が補助する形式には 43% が、完全に人間が作成したニュースには 62% が安心感を示しています。この「信頼のギャップ」は全ての国で見られ、ニュースにおける AI 利用の透明性や人間による監督、説明責任を重視する声が多数を占めました。

報告書は、 AI の急速な普及に対し、ニュース業界が信頼構築と透明性向上を急ぐ必要があると指摘しています。 AI 利用は確実に広がっていますが、ニュース分野での信頼を得るには、編集プロセスの透明化と人間主導の体制維持が欠かせないとしています。