【資金調達:シリーズD】AIチップメーカーGroq、6.4億ドル調達 独自技術でLLM高速化

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米AIチップメーカーのGroq Inc.が、シリーズDラウンドで6.4億ドル(約940億円)の資金調達を実施しました。これによりGroqの評価額は28億ドル(約4,100億円)に達しています。

このシリーズDラウンドの資金調達は、BlackRock Private Equity Partnersが主導し、Neuberger Berman、Type One Ventures、Cisco Investmentsなどの既存および新規投資家も参加しました。日本のグローバルブレインとKDDIが共同で設立したKDDI Open Innovation Fund IIIも参加しています。

Groqは2016年に元GoogleエンジニアでTPU(Tensor Processing Unit)の開発に携わったJonathan Rossによって設立された企業で、大規模言語モデル(LLM)の高速処理に特化した独自のLPU(Language Processing Unit)の開発を手掛けています。MetaのLlama 2 70BモデルをLPU上で実行したテストでは、300トークン/秒以上の高速処理を達成し注目を集めました。

調達資金の主な使途は、開発者向けクラウドサービス「GroqCloud」の拡張です。10万個以上のLPUを追加し、ユーザーがAIアプリケーションを容易に構築・展開できる環境を整備します。また、次世代LPUの開発加速や人材強化にも投資する方針です。

GroqはMetaと密接な関係にあり、MetaのAI部門トップのヤン・ルカンが同社の技術顧問を務めています。先日はLlamaの外部ツール利用に特化したモデルをGroqが発表したというニュースもありました。またMetaは自社開発のAIチップ「MTIA」の発表など、NVIDIA依存から脱却する動きも見せており、Groqとの協業はその一環とも捉えられます。

LPUはトレーニング済みLLMの実行(推論)での使用が想定されており、大量のGPUを必要とするトレーニング分野などでは依然NVIDIAの優位性は変わりませんが、すでに36万人以上のAI開発者がGroqCloudを活用しており、Groqの動向にも注目が集まります。