マイクロソフト報告書:「世界の生成 AI 普及率 16.3%」と「静かに広がる DeepSeek の採用」

投稿者:

マイクロソフト AI エコノミーインスティテュートは 2026年1月8日、「AI 普及レポート 2025」を公表しました。レポートによると、2025年下半期に世界の生成 AI 普及率が 16.3% に達し、約 6 人に 1 人が日常的に AI ツールを利用する時代が到来したと予測されています。しかし、その恩恵は世界に均等に行き渡っているわけではなく、先進国と発展途上国の間にある格差の拡大という課題も明らかにしています。

報告書では、先進国を指す「グローバルノース」における AI 普及率が労働年齢人口の 24.7% に達する一方、発展途上国にあたる「グローバルサウス」では 14.1% にとどまると指摘されています。この 10.6 ポイントの差は広がる傾向にあり、その背景には電力供給やインターネット接続といったインフラの未整備、デジタルスキルの不足、そして言語サポートの壁が存在します。実際に、インフラや人材開発に積極的に投資してきた UAE (64.0%) やシンガポール (60.9%) が普及率で上位を占めています。その一方で、AI 開発をリードする米国は 28.3% で世界 24 位となっており、技術開発力と国内での普及率が必ずしも比例しない現実を示しています。(*日本は普及率19.1%で53位となっています)

また、今回のレポートでは、中国の AI スタートアップ DeepSeek の「静かな成長」も特徴的な動向として取り上げられました。DeepSeek は、中国・ロシアなど欧米のプラットフォームへのアクセスが制限されている地域やアフリカなどの発展途上国で、無料のオープンソースモデルや手頃な価格戦略を武器に急速にシェアを拡大しています。その結果、中国国内で 89% 、ロシアで 43% という高い市場シェアを獲得しました。この事実は、AI の普及がモデルの性能だけでなく、利用しやすさや地政学的な要因に大きく左右されることを示唆しています。さらに、オープンソース AI が、西側企業が参入しにくい市場で中国の影響力を拡大させるためのツールとして機能している可能性も指摘されています。

このレポートは、今後の AI 普及が技術的な進歩のみならず、インフラ整備、教育、政策といった社会経済的な側面と密接に結びついていることを示しています。特に、次の巨大なユーザー層を抱えるグローバルサウスにおいて、オープンソースのイノベーションが普及を加速させる鍵となるかもしれません。