Adobe、Acrobat AIアシスタントに契約書解析機能「契約インテリジェンス」を追加

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Adobe が、PDF ソフトウェアの定番「 Acrobat 」の AI アシスタントに、契約書を効率的に理解・分析できる「契約インテリジェンス( Contract Intelligence )」機能を新たに追加しました。この機能は、契約書を自動的に認識し、重要な条項を簡潔にまとめることで、複雑な法的文書の理解をサポートします。

契約インテリジェンスの特徴的な機能として、最大 10 件の契約書を同時に比較し、その差異や不一致を特定できる点が挙げられます。また、PDF やスキャンされた文書を含む契約書から重要なポイントを抽出し、金額や期限、特定のポリシーなどを簡潔に要約する機能も備えています。

利用シーンとしては、ビジネスユーザーを対象とし、販売契約や代理店契約、賃貸借契約など、各種契約の内容理解やレビューなど、幅広い用途が想定されています。実際の活用例では、不動産業界において従来 45 分かかっていた契約書の確認作業が 10 分で完了するなど、大幅な時間短縮効果が報告されています。

技術面では、Adobe の PDF 技術と生成 AI を組み合わせ、「 Liquid Mode 」などの既存の AI モデルを活用することで、PDF の構造や内容を正確に理解し、信頼性の高い出力を実現しています。データ保護の観点では、契約書の分析をクラウド上で一時的に行い、処理後はデータを完全に消去する仕組みを採用。ユーザーのデータが AI モデルの学習に使用されることはありません。

なお、この機能は現在英語のみの対応となっており、月額 4.99 ドルで提供されています。Adobe は、この機能を「契約書理解の出発点」と位置づけており、専門家へ相談すべき箇所を特定するための補助的なツールとして活用することを推奨しています。