OpenAI と Anthropic が、トランプ政権の元高官を次々と採用していることが明らかになりました。両社合わせて少なくとも 5 名に上り、AI をめぐる規制や政府調達が業界の競争を左右するようになる中、ワシントンとのパイプ強化を急いでいます。
Anthropicは 2026 年 2 月、トランプ大統領の第 1 期政権でホワイトハウス副首席補佐官を務めたクリス・リデル氏を取締役に迎えました。同年 9 月には、ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)の元政策アドバイザーであるシハオ・ファン氏が、AI インフラ戦略を担う新部門のトップに就任しています。ファン氏は政府在任中、AI や半導体に関する国家安全保障政策の立案を主導した人物です。
OpenAI でも同様の動きが続いています。トランプ政権の AI 政策の立案に携わったディーン・ボール氏が 2026 年 7 月に入社し、長期的な政策戦略を担う部門を率いています。さらに 2026 年 10 月初旬には、国家サイバー局で AI 政策を担っていたトーマス・リンド氏が国家安全保障チームに加わりました。保健福祉省(HHS)で AI 政策を統括していたピーター・ボウマン=デイビス氏も 2026 年 3 月から在籍しており、モデル開発やハードウェアの分野で貢献しています。
こうした採用が相次ぐ背景には、政府の判断が業界の行方に直結するようになってきた現実があります。輸出規制や政府調達の基準、サプライチェーンの審査など、ワシントンの意思決定ひとつで各社のビジネスが大きく左右される状況です。安全保障・技術政策の専門家は「両社は、政府がこれらの手段を実際に行使する意思を持っていることを十分に理解している」と指摘しています。
ロビー活動への投資も目立ちます。 2026 年第 2 四半期における両社の連邦ロビー費用の合計は 317 万ドル(約 4 億 7,550 万円)と、前四半期から 23 %増加しました。Anthropic 単独の支出は Nvidia を上回る水準です。両社はそれぞれ 2026 年 4 月・5 月にワシントン D.C. にオフィスを構えており、政策担当の採用も続けています。
Anthropicはかつて、自律型兵器や大規模監視への利用を禁じる条件を巡ってペンタゴンとの交渉が決裂し、政府のサプライチェーンリスク企業に一時指定されるなど、トランプ政権との関係は複雑でした。ただ CEO のダリオ・アモデイ氏はその後、関係改善に動いており、 2026 年 9 月には大統領との夕食会にも出席しています。一連の元高官採用は、規制の枠組みが固まる前に政策形成に関与しようとする、両社の現実的な判断といえます。
