Google は 2026 年 9 月 24 日、AI チップを搭載した衛星の打ち上げ計画を発表しました。打ち上げは 2026 年 10 月 1 日、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地から SpaceX の Falcon 9 ロケットで行われる予定です。衛星の開発・製造は衛星データ企業の Planet Labs が担当しており、冷蔵庫ほどの大きさの衛星「MVP」が搭載されます。
このプロジェクトの背景にあるのが、Google が 2025 年 11 月 4 日に発表した「Project Suncatcher」です。低軌道に 81 機の衛星を展開し、宇宙空間でたっぷりと得られる太陽光を使って AI の処理を行うという構想です。宇宙上で AI が処理した結果を地球に送信する予定です。
今回の打ち上げはあくまで技術実証の第一歩で、搭載される AI チップ(TPU)はわずか 4 基です。発電能力も 1 キロワットと小さく、地上のデータセンターとはスケールが大きく異なります。ただし、単純な AI クエリには対応できる処理能力を持っており、約 1 年間の運用を通じてデータを収集する予定です。
宇宙での運用には明確なメリットがあります。低軌道上では地球上の最大 8 倍の太陽光発電量が見込めるため、ほぼ途切れることなく電力を確保できます。地上のデータセンターが電力不足や住民の反発といった問題に直面しているなか、宇宙という選択肢が現実味を帯びてきています。
一方で、解決すべき課題も残っています。宇宙放射線への耐性については、カリフォルニア大学デービス校での試験で 5 年間分の照射に耐えられることが確認されましたが実際の運用で確認をする予定です。また、冷却については、真空中では空冷が使えないため、ヒートパイプとラジエーターを組み合わせた方法を検討中です。コスト面では、地上のデータセンターと競争力を持つには、打ち上げコストを現在の約 3,600 ドル/kg(約 54 万円/kg)から 200 ドル/kg(約 3 万円/kg)まで引き下げる必要があるとされています。
今後は 2027 年に衛星間レーザー通信のテストを予定しており、最終的には 81 機体制への拡大を目指します。Google は、打ち上げコストの低下と技術の進展が続けば、 2030 年代半ばには宇宙での AI 処理が商業的に成り立つと見込んでいます。
