米Economy Mediaによると、テック企業が静かにエンジニアを再雇用している、とのことです。2023年から2025年にかけて、米国のテック系企業では大規模なレイオフが相次ぎました。2025年だけでグローバルに約 24 万 5,000 件のテック職が削減され、そのうち約 7 割が米国本社企業によるものです。AI の台頭を理由とした解雇も米国だけで約 5 万 5,000 件に達しました。
しかし今、企業は方針を転換しつつあります。かつて解雇した元社員を呼び戻す「ブーメラン採用」と呼ばれる動きが広がっており、 ADP Research Institute によれば、2025年 3 月時点で米国の新規採用者の 35% がこのブーメラン採用に該当します。 Google では 2025年に採用した AI ソフトウェアエンジニアの約 20% が元社員だったことも明らかになっています。
なぜ企業は元社員を必要としているのでしょうか。背景にあるのは、 AI が生成するコードの品質問題です。研究によれば、 AI 生成コードは通常の最大 1.7 倍のバグを含み、メンテナンスコストが 38% 増加するとされています。さらにエラー率は 30.5% に上り、生成コードのおよそ 3 行に 1 行は大幅な修正を要するという報告もあります。 AI はビジネスの文脈を理解せずにコードを生成するため、経験豊富なエンジニアの判断が依然として不可欠なのです。
人材開発会社 Careerminds の調査では、 AI を理由に解雇を実施した企業の約 3 分の 1 が削減した役職の 25〜50% を再雇用しており、レイオフで節約した以上のコストを再採用に費やした企業も 3 社に 1 社に上りました。ガートナーは、 AI を理由に人員削減した企業の半数が来年までに類似の役職で人材を再雇用すると予測しています。
採用市場の構造も変わっています。エントリーレベルの開発者向け求人はグローバルで 20〜35% 減少した一方、シニアエンジニアや AI ガバナンス・プロンプトエンジニアリングといった新しい専門職への需要が急増しています。 Robert Half の調査では、 AI・ML・データサイエンス関連の求人は 2025年に 4 万 9,200 件に達し、前年比 163% 増となりました。
ワイオミング大学のビジネス学部長 Scott Beaulier 氏は「一部の企業は先走り過ぎた。多くのタスクにはまだ判断力や品質管理、人間的なインタラクションが必要だ」と指摘しています。 AI は代替ではなく補助ツールであり、それを使いこなす人材こそが今、企業に求められています。
