Google、Gemini を Docs・Sheets・Slides・Drive に統合

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Google は 2026年3月10日より、AI 「Gemini」を Google Docs・Sheets・Slides・Drive に組み込んだベータ版の提供を始めました。利用できるのは Google AI Ultra および Pro の契約者で、Docs・Sheets・Slides は英語で全世界に対応、Drive は現時点で米国のみとなっています。

Docs に追加された「Help me create」は、作りたい文書の内容を入力するだけで、Gemini が Drive・Gmail・Chat に散らばった情報をまとめて初稿を仕上げてくれる機能です。「Match the format」を使えば既存文書のレイアウトをそのまま引き継いだ新文書を作成でき、たとえば旅行の日程表テンプレートに予約確認メールの内容を自動で流し込むといった使い方が可能です。複数人で編集する際に生じがちな文体のばらつきを Gemini が整える「Match writing style」も加わり、仕上げにかかる手間が減りそうです。

Sheets では、表計算の標準的な評価指標である SpreadsheetBench において 70.48% の正答率を記録しました。人間の専門家の 71.33% にほぼ並ぶ水準で、競合他社の中で最も近い Kingsoft Office の 69.96% も上回っています。「Fill with Gemini」機能では、既存のシートや Web 上の情報をもとにデータを自動補完でき、100 セルの入力作業で手作業の 9 倍の速度を達成したと社内調査で報告されています。

Slides では、メールやファイル、Web の情報を参照しながらスライドを自動生成できるようになり、色やレイアウトはその後の指示で細かく調整できます。一文の説明からプレゼンテーション全体を生成する機能も開発中ですが、今回のリリースには含まれていません。

Drive は「ファイルを置く場所」から「情報を引き出す場所」へと役割が変わります。検索結果の上部に引用付きの要約が表示されるようになるため、個々のファイルを開かなくても知りたい情報にたどり着けます。

個人での利用には Google AI Pro(月額 $20・約3,000円)以上のプランが必要です。企業向けには管理者による設定が条件となりますが、データの取り扱いは他の Workspace サービスと同等の基準で保護されます。

今回の動きは、Microsoft が Copilot を Office に統合している戦略と真っ向から競合するものです。Gmail や検索など Google 独自のサービス群と連携できる点は、Teams や Office ドキュメントを中心に置く Microsoft とは異なるアプローチで、両社の競争は今後さらに激しくなりそうです。