Anthropic、トランプ政権のブラックリスト指定に対し仮差止命令を獲得

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2026年3月26日、サンフランシスコ連邦裁判所の Rita Lin 判事は、AI 企業 Anthropic が申し立てた仮差止命令を認める判断を下しました。これにより、国防総省による「サプライチェーンリスク」指定が一時的に効力を失うことになります。

事の発端は、Anthropic が2025年7月に国防総省と締結した2億ドル(約300億円)の契約にあります。同社は AI モデルを国防総省の機密ネットワークに導入した初の企業となりましたが、その後の交渉過程で対立が生じました。国防総省側はあらゆる合法的用途での無制限利用を求めたのに対し、Anthropic 側は完全自律型兵器や大規模な国内監視への使用を制限するよう要求し、両者は合意に至りませんでした。

交渉決裂後の2026年3月3日、Pete Hegseth 国防長官は Anthropic を国家安全保障上のリスク企業として指定しました。トランプ大統領も全連邦機関に対して同社製品の使用中止を指示しています。この「サプライチェーンリスク」指定は従来、中国企業など外国の脅威に対して用いられてきた措置であり、米国企業に適用されたのは Anthropic が初めてとなります。

Lin 判事は43ページに及ぶ判決文の中で、政府の方針に異議を唱えただけで敵対者扱いされることを正当化する法的根拠はないと明言しました。さらに、Anthropic が適正な手続きを経ずに指定されたことは憲法上の権利侵害にあたる可能性が高いと指摘しています。裁判所は、同社が政府の契約姿勢を公に批判したことへの報復措置だった疑いがあるとの見方を示しました。

興味深いことに、この騒動の中で Anthropic の一般消費者向けサービスは急成長を遂げています。今週だけで毎日100万人以上が新規登録し、20か国以上の Apple App Store で ChatGPT や Gemini を抑えてトップの座を獲得しました。また、OpenAI や Google DeepMind の研究者たちも Anthropic を擁護する意見書を裁判所に提出しています。

判決の実施は、政府側に上訴の機会を与えるため1週間延期されており、最終的な判断が下されるまでには数か月を要する見込みです。