Google DeepMind は 2026 年 1 月、ゲノム解析 AI モデル「AlphaGenome」の研究論文を Nature 誌で発表し、ソースコードとモデルの重みを GitHub で公開しました。このモデルは、ヒトゲノムの 98% を占める非コード DNA 領域の機能を解析することに特化しています。
AlphaGenome は 100 万塩基対の DNA 配列を入力として受け取り、遺伝子がどのように働くかといった数千種類のゲノム機能を、DNA の最小単位レベルの精度で予測できます。このプロジェクトは主著者の Žiga Avsec 氏が主導し、DeepMind のゲノミクス研究の中心的な取り組みとなっています。
性能面では、DNA 配列の特定の特徴を識別する 24 のモデルのうち 22 を上回り、遺伝子調節への変異の影響予測では 26 モデル中 24 で優れた結果を示しました。注目すべきは、TPU でわずか 4 時間のトレーニングで完了し、従来の Enformer モデルと比べて半分の計算予算で実現できた点です。
実用例として、T 細胞急性リンパ芽球性白血病患者の研究では、AlphaGenome が変異による TAL1 遺伝子の活性化メカニズムを正確に予測しました。また 2025 年 9 月の「Undiagnosed Hackathon」では、29 の未診断疾患の解明に貢献しています。
2025 年 6 月のプレプリント公開以降、160 カ国の約 3,000 人の科学者が API を利用しており、1 日あたり約 100 万件のリクエストを処理しています。事前訓練済みモデルは Kaggle や Hugging Face から非商用利用向けにダウンロードできます。
フランシス・クリック研究所の Robert Goldstone 氏は AlphaGenome を「ゲノミクス AI 分野における重要な転換点」と評価し、理論的な研究から実用的なツールへと技術を進化させる画期的な成果だと述べています。一方で、現時点ではヒトとマウスの 2 種のデータのみで学習されているため、他の生物種への適用や、DNA 上で非常に離れた位置にある遺伝子調節領域の影響を正確に捉えることには改善の余地が残されています。
