ElevenLabs、AIとアーティストの共作アルバム『The Eleven Album』を発表

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AI 音声技術を開発する ElevenLabs が、音楽生成 AI『Eleven Music』を使い、アーティストと共同でフルアルバム『The Eleven Album』を発表しました。このプロジェクトは、AI を人間の創造性を引き出すためのツールとして位置づけ、アーティストの権利を尊重した新しい協力のかたちを提案しています。

このアルバムには、米エンタメ界の最高栄誉「EGOT」受賞者であるライザ・ミネリや、Simon & Garfunkel のアート・ガーファンクルといった伝説的なアーティストから、ヒップホップアーティストの IAMSU!、ブラジリアン・ファンクのプロデューサー Kondzilla など、多彩な才能が集まりました。プロジェクトの特徴は、AI が単に人間の作業を代替するのではなく、創造的なパートナーとして機能している点です。例えば、ライザ・ミネリの EDM トラックでは、彼女のボーカルはそのままに、AI が音楽のアレンジメントを担当。また、アート・ガーファンクルの楽曲では、ピアノと雨音を背景にしたスポークンワード(語り)という形式で、AI が表現の幅を広げています。

ElevenLabs は、このプロジェクトで「クリエイターファースト」の姿勢を明確にしています。参加アーティストは自身が関わった作品の所有権を完全に保持し、ストリーミング収益の 100% を受け取ることができます。AI 生成コンテンツの著作権や収益分配が課題となる中、同社の取り組みはアーティストの権利を守るモデルケースとなり得ます。

技術面では、『Eleven Music』は簡単な指示(プロンプト)からスタジオ品質の楽曲を生成できます。さらに、歌詞や楽器編成を細かく調整したり、最大 6 つのステム(個別音源トラック)を出力したりすることも可能です。これにより、AI が生成した素材を既存の音楽制作現場へスムーズに組み込めます。

現在の音楽業界では、アーティストの声を無断で模倣する AI 技術への反発が強まっています。この状況下で、アーティスト本人の同意と参加を前提とする ElevenLabs の試みは、AI とクリエイターが共存する未来への建設的な一歩と言えるでしょう。