OpenAIが、同社の主要サービスである ChatGPTにターゲット広告を導入するテストを米国で開始すると発表しました。2026年後半に予定されている新規株式公開(IPO)を目指す同社にとって、これは収益化戦略の大きな転換点となります。
広告導入のテストは、無料版ユーザーと、新たに月額 8ドル(日本では約 1500円)で設定された低価格プラン「ChatGPT Go」の利用者を対象に、今後数週間以内に開始される予定です。「Go」プランは無料版と月額 20ドルの「Plus」プランの中間に位置づけられます。広告は回答の下部に「Sponsored」と明記され、チャットの応答とは区別されます。ターゲティングは現在の会話内容に基づいて行われますが、OpenAIはユーザーデータを広告主に販売せず、会話内容が共有されることもないと強調しています。
この動きの背景には、AI開発に伴う莫大な運用コストがあります。年間最大 500億ドル(約 7.8兆円)にも上るとされるコストを賄い、収益性を確保するため、新たな収益源の確立が急務となっていました。OpenAIは 2026年後半の IPOを視野に入れており、内部文書によれば、無料ユーザーからの収益は 2029年には 250億ドル(約 3.9兆円)に達し、総収益の最大 20%を占める見込みです。
しかし、この広告導入に対しては懸念の声も上がっています。最大の論点は、チャットボットの回答と広告コンテンツの境界が曖昧になることで、ChatGPTの客観性に対するユーザーの信頼が損なわれる可能性です。また、OpenAIはプライバシー保護を約束しているものの、ターゲット広告というビジネスモデル自体が、ユーザーデータの取り扱いに関して「危険なインセンティブ」を生むとの指摘もあります。
OpenAIはこれらの懸念に対し、「ミッションとの整合性」や「回答の独立性」など 5つの基本原則を掲げ、ユーザーの信頼を維持する姿勢を示しています。ChatGPTへの広告導入は、巨大な開発コストを賄い、持続的な成長を目指す上で避けられない選択だったのかもしれません。同社が収益化とユーザー価値の維持という難しいバランスをどう取っていくのか、その動向は今後の AI業界全体の方向性にも影響を与えるでしょう。
